追加されたのは「分ける」機能
GitHub Copilot の週次リリース (2026 年 8 月 7 日公開) に、複数のサーフェスへまとめて機能が入りました。
揃っているか・崩れないかという観点で並べ直すと、今回の追加はどれも「作業を分ける」方向 です。本筋と脇道を分ける、作業環境を分ける、状態を戻せるようにする。
| サーフェス | 追加されたもの |
|---|---|
| Desktop app | /side、Auto のモデル表示 |
| CLI | /worktree (実験的)、/rewind の改善 |
| VS Code 1.132 | /btw |
順に見ていきます。
本筋を止めずに聞ける
いちばん使う場面が想像しやすいのが、/side と /btw です。どちらも 本筋の作業を止めずに別の質問をする ための機能です。
VS Code 側の説明を引きます。
Ask side questions with
/btw...without interrupting the agent's current turn.
エージェントが動いている最中でも、割り込まずに聞けます。 Desktop app では /side が同じ役割です。
なぜこれが要るか
作業中に別のことを聞きたくなる場面は、思っている以上に多くあります。「そういえばこの書き方でよかったか」「さっきのファイルはどこだったか」。
これまでは、選択肢が 2 つしかありませんでした。今の流れの中で聞くか、別の会話を立てるか。
前者は、本筋の文脈に関係のない話が混ざります。あとから読み返したときに、何の話をしていたのか分かりにくくなります。 後者は、前提を渡し直す手間がかかります。
脇道として分けられると、この間が取れます。本筋は本筋のまま残り、聞きたいことも聞けます。
コツ
効いてくるのは、あとから読み返すときです。本筋の流れが混ざらないと、経緯を追いやすくなります。1 人で使っていても、翌日の自分が読む場面で差が出ます。
整理として見ると
この機能は、Claude Code 側で先に入っていた会話の分岐や、GitHub Copilot 自身の peer chat と近い方向にあります。どのツールも、1 本の会話にすべてを詰め込む形から離れつつあります。
理由は単純で、1 本にまとめるほど読み返しにくくなるから です。長い会話の中から必要な部分を探す作業は、それ自体が時間を食います。
揃えておくと後が楽なのは、この使い分けです。本筋に関係する話は本筋へ、関係しない話は脇道へ。 最初は意識が要りますが、慣れると自然に分かれます。
作業環境を分ける
CLI には、実験的な /worktree が入りました。
Create an isolated worktree and begin a separate conversation with the new experimental
/worktreecommand.
独立した作業環境を作って、そこで別の会話を始められます。 本体の作業に影響を与えずに、別のことを試せる形です。
用途としては、次のような場面が考えられます。
- 今の変更を保ったまま、別のやり方を試したい
- 長く動かす作業と、短い確認作業を並行させたい
- 壊れてもよい環境で、思い切った変更を試したい
ただし 実験的な位置づけです。 本番の作業で頼り切るのは早い段階だと考えます。挙動が変わる可能性がある前提で触ってください。
分離が効く条件
作業環境を分ける機能は、分けた先が本当に独立しているかで価値が決まります。 分けたつもりで本体に影響が及ぶなら、分ける意味がありません。
この点は、他のツールでも過去に問題になった箇所です。「分離しているはず」が実際には効いていなかった、という不具合は現実に起きています。
実験的な機能を試すときは、本体に影響が出ていないかを最初の数回だけ確認してください。 慣れてから確認しても遅くはありませんが、最初の 1 回で見ておくほうが安心して使えます。
VS Code 側のその他の変更
VS Code 1.132 には、/btw 以外にも入っています。細部ですが、日々の使い勝手に効く部分です。
音声入力が、既定で端末上の多言語モデルを使うようになりました。 手を止めずに指示を出したい場面で効きます。端末上で処理されるので、話した内容がそのまま外へ出る形にはなりません。
Markdown の差分を、実験的なハイブリッドエディタで開けるようになりました。 文章の差分は記号だけの表示だと読みにくく、実際にどう変わるのかが掴みにくい部分です。ここが読みやすくなると、文書の変更を確認する回数が増えます。
後者は、コードより文書を多く扱う人に効きます。 仕様書や手順書を AI に直させている場合、差分の読みやすさがそのまま確認の質になります。
状態を戻せる範囲が広がった
/rewind は以前からありましたが、Git が無い環境でも使えるようになりました。
Use
/rewindwithout Git to restore the conversation and files Copilot changed.
戻せるのは、会話と Copilot が変更したファイルです。Git で管理していない場所での作業や、まだ初期化していないディレクトリでも巻き戻せます。
小さな変更に見えますが、使える場面は広がります。 ちょっとした調べもの用のディレクトリや、設定ファイルだけを置いた場所など、Git を入れていない場所は現実に多くあります。
FIXITこんなに一度に増えると、覚えきれないんだけど。
Irodori全部は要りません。使う場面が来たときに思い出せれば十分です。
FIXIT
Irodori本筋を止めずに聞けるものが、いちばん分かりやすいと思います。
セッションを並べて管理できる
CLI には、複数の会話を管理するサイドバーも入りました。同時に走らせている会話を一覧から扱えます。
Desktop app 側でも、関連するセッションをグループ化して並べ替えられるようになっています。どちらも、会話が増えたときに探せなくなる問題への対処 です。
実際、並行して作業する使い方が一般的になると、「さっきの会話がどれか分からない」という状態が起きます。 名前も付いていない会話が 10 個並ぶと、開いて確かめるしかありません。
一覧から扱えると、この探す時間が消えます。地味ですが、並行して使うほど効いてきます。
コツ
会話が増えると分かっているなら、始めるときに名前を付けておく のがいちばん効きます。一覧の見やすさは、機能より付けた名前で決まります。
Auto が何を使ったか見える
もう 1 点、性質の違う変更があります。Desktop app で、Auto が実際にどのモデルで処理したかを表示する ようになりました。
Auto now shows which model handled each completed request, plus AI credit and cache details when they're available.
AI クレジットとキャッシュの情報も、取得できる場合は一緒に出ます。
これは 切り分けに効きます。 Auto に任せていると、結果に差を感じたときに原因が分かりません。速かったのか遅かったのか、どのモデルだったのか。表示されると、そこが判断材料になります。
費用の面でも同じです。どのモデルがどれだけ使われているかが見えると、想定と違う配分になっていたときに気づけます。
揃っているかという観点で言えば、「任せているけれど何が起きたかは分かる」状態のほうが健全です。 任せることと、見えないことは別であるべきです。
どこから試すか
一度に増えると、どれから触ればよいか迷います。使う場面が想像できるものから試すのが確実です。
| 機能 | 試す優先度 | 理由 |
|---|---|---|
/side /btw | 高い | 日常的に発生する場面がある |
| Auto のモデル表示 | 高い | 何もしなくても効く |
/rewind | 中程度 | 必要になったときに思い出せば足りる |
/worktree | 低い | 実験的。用途がはっきりしてから |
Auto のモデル表示は、意識しなくても効きます。 表示されるようになるだけなので、覚えることがありません。
いちばん下は急がなくて構いません。実験的な機能を早く触る必要があるのは、それで解ける困りごとが今ある場合だけです。
週次で機能が増えることの扱い
Copilot は週次でリリースが出ます。毎回追いかけるのは現実的ではありません。
揃えておくと後が楽なのは、追う頻度と観点を決めておく ことです。
| 頻度 | 見るもの |
|---|---|
| 週次 | 見なくてよい |
| 月に 1 度 | まとめて眺めて、使えそうなものを拾う |
| 随時 | 期限のある変更・廃止だけは即座に |
いちばん下だけ切り分けてください。モデルの廃止や仕様の変更は、放置すると動かなくなります。 機能の追加は、知らなくても困りません。
この切り分けをしておくと、週次のリリースノートを開かなくても実務が回ります。 実際、今回追加された機能はどれも「知らなくても今までどおり使える」ものです。
なお、同じ月に Copilot ではモデルの廃止も予定されています。そちらは期限があるので、こちらは見てください。詳細は GitHub Copilot で 6 モデルが 9/1 廃止 にまとめています。
覚えることを増やしすぎない
最後に、道具の使い方全般の話をします。機能が増えるたびに全部覚えようとすると、かえって手が止まります。
現実的なのは、困ったときに「そういえば何かあった気がする」と思い出せる状態 です。そこから調べれば間に合います。
そのために効くのは、増えた機能を 「何のための機能か」でまとめておく ことです。今回なら「作業を分けるもの」でひとまとまりになります。個別のコマンド名を覚えるより、こちらのほうが残ります。
チームへ共有するときも同じです。コマンド名を並べるより、「本筋を止めずに聞けるようになりました」と書くほうが伝わります。 使い方の説明は、必要になった人が調べれば足ります。
Copilot を使い込む側の話は GitHub Copilot を実プロジェクトで使い倒す 6 つのポイント に、同時期に入った画像対応は Copilot Vision が正式提供に にまとめています。
なお、同じ時期に Kimi K3 も Copilot で選べるようになりました。機能とモデルは別軸の変化ですが、どちらも「選べる幅が広がった」という点では同じです。 そちらは Kimi K3 が GitHub Copilot で使えるようになった を参照してください。
まとめ
- 今回の追加はどれも「作業を分ける」方向。本筋と脇道、作業環境、状態の巻き戻し
/side(Desktop app) と/btw(VS Code) で、本筋を止めずに別の質問ができる- CLI の
/worktreeは実験的。独立した作業環境で別の会話を始められる /rewindが Git 無しでも使えるようになり、対象の場所が広がった- Auto が実際に使ったモデルを表示するようになり、差を感じたときの切り分けができる
- 全部覚えなくてよい。「何のための機能か」でまとめておけば、必要なときに思い出せる
- 週次リリースは追わなくてよい。期限のある変更と廃止だけ切り分けて見る
