プロジェクト概要
実店舗を運営する小売事業者のスタッフ 5 名に対し、3 時間の AI 活用研修を実施しました。受講者は全員プログラム未経験です。
一般的な使い方を広く紹介する形は取らず、その事業者が毎月行っている人件費の集計を、研修中に自動化して終わらせることを目標に置きました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| クライアント | 小売事業者 (実店舗運営) |
| 受講者 | 店舗スタッフ 5 名 (全員プログラム未経験) |
| 実施日 | 2026 年 8 月 |
| 所要時間 | 3 時間 (単発) |
| 題材 | その日の実際の業務データ (勤務表) |
クライアントの課題
事務作業をすべて人の手で行っていました。 人件費の集計をはじめ、担当者が毎月まとまった時間をかけて処理していました。
作業が深夜まで及ぶ日が続いていました。 集計の締めが近づくと作業時間が延び、本来の業務に支障が出ていました。
小売の現場では、事務作業は接客や在庫管理の合間に行われます。事務作業そのものの負荷が上がると、圧迫されるのは本業のほうです。ここが問題の本質でした。
アプローチ
環境の準備に時間を使わない
研修の冒頭で、受講者 5 名全員にその場でアカウントを配布しました。
3 時間の研修で、環境の準備に 1 時間かかると、残りは 2 時間です。しかも準備の段階でつまずいた受講者は、その後の演習に集中できません。準備に研修時間を使わせないことが、短時間の研修では効きます。
その日の実際の業務データを演習に使う
演習の題材は、汎用の練習用データではなく、その日の実際の勤務表です。
ここで直面したのが、元データの開始時刻と終了時刻の欄が空欄だったことでした。手作業で集計していたときは、担当者が頭の中で補っていた部分です。
同じデータの中に勤務パターンの欄 (例: 遅番 13:30〜21:30) があったため、そこから勤務時間を割り出す形で処理しました。休憩時間は労働基準法の下限を控除し、深夜割増まで含めて計算しています。
この「データが想定どおりに揃っていない」という状況を、演習の中で一緒に扱ったことに意味がありました。 きれいなサンプルデータで練習しても、実際の業務データは必ずどこかが欠けています。欠けていたときにどう埋めるかを一度経験しておくと、次の業務にも応用できます。
研修中に、実際に使う集計まで終わらせる
演習は練習で終わらせず、その月に実際に提出する人件費集計を完成させるところまで進めました。
研修が終わった時点で、成果物が 1 つ残っている状態です。翌月からは同じ手順を繰り返すだけになります。
成果
研修当日のうちに、人件費集計が自動で終わる状態になりました。
シフトのデータを読み込ませるだけで、月次の集計が完了する状態になりました。実際に処理したのは スタッフ 9 名分・延べ 90 日・実労働 586.5 時間 です。これを一度に集計しています。
手作業で行っていたときに深夜まで及んでいた作業が、本来の業務を圧迫しない範囲に収まりました。
学びと再利用可能なナレッジ
短時間の研修では、範囲を 1 点に絞る
3 時間という時間で「AI の使い方」を広く教えようとすると、どれも中途半端になります。本事例では扱う課題を「毎月やっている集計」の 1 点に絞りました。
範囲を絞ると、その場で成果物が残ります。成果物が残ると、社内で成果を説明できます。説明できると、次の投資判断がしやすくなります。短時間の研修では、この順番が重要です。
データが整っていない前提で演習を組む
きれいに整ったサンプルデータで練習すると、実際の業務に戻ったときに「自分のデータは違う」で手が止まります。
本事例では元データに欠けがありましたが、それを避けるのではなく、欠けたまま演習に使いました。欠けをどう埋めるかを一度経験しておくほうが、整ったデータで手順をなぞるより実務で使えます。
自動化した直後は、必ず検算する
自動で出した結果と、従来の手作業の結果を突き合わせてから運用に移しました。
集計の前提 (休憩の扱い、割増の計算) は事業者ごとに違います。自動化した直後に検算をしないまま使い始めると、間違いに気づくのが給与の支払い後になります。
短時間の研修で成果が残らない 3 つの原因
一般的な使い方から教えてしまう。 「まず AI とは何か」から入ると、3 時間では演習に入る前に時間が尽きます。受講者が持ち帰るのは概念であって、動くものではありません。
受講者の人数を増やしすぎる。 本事例は 5 名でした。人数が増えると、つまずいた受講者への対応が追いつかず、進度の差がそのまま定着の差になります。
扱う業務を担当者以外が決めてしまう。 題材にする業務は、実際にその作業をしている人が選ぶほうが確実です。管理側から見て非効率に見える作業と、現場が実際に負担を感じている作業は、一致しないことがあります。
関連リソース
- AI 活用研修 — 受講企業の実務をそのまま教材にする研修サービス
- 公式サイトの保守を内製化し、月 30 万円の外注費をゼロにした AI 活用研修 — 同じ進め方で運用保守を内製化した事例

