何が変わったか
GitHub は 2026 年 10 月 28 日、GitHub Enterprise のライセンスを持つユーザー全員に Copilot の利用権を含める契約形態を発表しました。一次情報は GitHub の変更履歴と、公式ドキュメントの What's changing with GitHub Enterprise and Copilot です。
変わる点は 2 つです。1 つ目は席料で、GitHub Enterprise Cloud のライセンスを持つユーザーには Copilot の席料がかかりません。2 つ目は管理の対象です。これまでは Copilot の席数と AI の利用量の 2 つを管理する必要がありましたが、今後はエンタープライズの予算に対する利用量が管理の中心になります。
「同梱」と聞くと無料のように読めますが、そうではありません。利用は最初のリクエストから従量課金で、席ごとに付く月間の AI クレジットもありません。席料が 0 になる代わりに、利用量のすべてが従量課金として予算に計上されます。
FIXITEnterprise を持っていれば、Copilot はタダで使い放題になるの?
Tsukasa結論から言うと、席料が 0 になるだけです。利用量は最初のリクエストから予算に計上されます。
現行プランとの違い
公式ドキュメントの比較表をもとに、席料と含まれる AI クレジットを並べます。金額はいずれも米ドルの表示額です。
| 項目 | Copilot Business | Copilot Enterprise | 今回の形態 (GitHub Enterprise Cloud のライセンスあり) | 今回の形態 (Copilot Standalone) |
|---|---|---|---|---|
| 席料 | 19 ドル/月 | 39 ドル/月 | 0 ドル | 10 ドル/月 |
| 含まれる AI クレジット | 1,900/月 | 3,900/月 | なし | なし |
Business と Enterprise の AI クレジットは、ユーザーごとの量を合算したプールとして共有されます。今回の形態にはこの枠がないので、使った分がすべて従量課金になります。
機能とモデルの範囲は Copilot Enterprise と同じで、管理者のポリシーと支出の管理設定に従います。Business と Enterprise は、新規でも既存でも引き続き購入できます。
予算と機能の関係
予算の扱いは、機能によって分かれます。
- 予算なしで使える機能は、コード補完と次の編集提案です
- 予算が要る機能は、Chat、コードレビュー、クラウド上の Copilot です
課金のドキュメントも、インラインのコード補完と次の編集提案は AI クレジットで課金されず、予算が 0 ドルでも使えると書いています。補完を中心に使う人は、費用がほとんど動かない可能性があります。逆に Chat やクラウド上の Copilot を多用する人は、予算の消費が大きくなります。
予算を使い切ったときの扱いも、発表に書かれています。「予算を使い切ってもアクセスは外れない」というもので、席そのものと、予算なしで使える機能は残ります。一方で、Chat・コードレビュー・クラウド上の Copilot は、使える予算が残っていることが利用の条件です。課金のドキュメントによれば、ユーザー単位の予算は、上限に達するとクレジットを消費する機能の利用を必ず止めます。enterprise の支出上限で止めるには、「Stop usage when budget limit is reached」を有効にします。
このほか、「AI credits paid usage」のポリシーは既定で有効で、クレジットを消費する機能を使うには有効のままにしておく必要があります。今回の形態には含まれる枠がないため、無効にするとそれらの機能は使えなくなります。コードレビュー側の課金先の設定は、Copilot code review の組織課金と依頼元の制限で扱っています。
Standalone と、ライセンスの混在
GitHub Enterprise のライセンスを持たない人は、Copilot Standalone で同等のアクセスを得られます。月額は 1 ユーザーあたり 10 ドルです。Standalone の費用には、ID・アクセス・ポリシー・セキュリティ・管理の機能が含まれるとされています。
1 つの enterprise の中で、GitHub Enterprise のライセンス保有者と Standalone のユーザーを混在させることもできます。Enterprise のライセンスを持たない人にも Copilot を使わせたい場合は、この組み合わせで対応できます。
席の割り当ては、これまでどおり必要です。enterprise のオーナーが、個々のメンバー、enterprise のチーム、または組織に Copilot の席を割り当てます。これは GitHub Enterprise Cloud のライセンス保有者も同じです。ライセンスがあるだけでは、自動で使えるようにはなりません。
移行の条件
現行の契約は、自動では移りません。公式ドキュメントは、Copilot Business または Enterprise を使う enterprise は自動で移行せず、移行は任意だとしています。
移行の前に確認する条件は次のとおりです。
- 同じ enterprise の中で、個々の組織を含めて、Business / Enterprise の席と今回の形態を組み合わせることはできません
- GitHub Free・Team の組織と、GitHub Enterprise Cloud のセルフサービスの試用は対象外です
- 移行は月の初日に反映されます。営業窓口に連絡しただけでは、移行日や課金が決まるわけではありません
- GitHub.com では、今回の形態が Copilot Enterprise のエンドポイントを使います。ファイアウォールの許可リストが
*.business.githubcopilot.comだけなら、*.enterprise.githubcopilot.comを追加します
エンドポイントの追加を見落とすと、移行後に Copilot へのアクセスが途切れるおそれがあります。ネットワーク担当者にも共有しておくと安全です。
提供時期
提供時期は、契約の経路で異なります。
| 契約の経路 | 状況 |
|---|---|
| GitHub または Microsoft の営業窓口を通す Enterprise Cloud | 2026 年 10 月 28 日から利用可能。新規の enterprise も、既存の移行も営業窓口に連絡する |
| セルフサービス | まだ利用できない。段階的に提供し、日程は「今後数週間で案内」とされている |
セルフサービスの日程は、10 月 29 日時点で公開されていません。現在のセルフサービスの契約には影響がないとされています。日程が出た段階で、公式の変更履歴を確認してください。
費用の比べ方
公式ドキュメントは、現行の契約と今回の形態を比べる手順を 4 つ示しています。
- 現在のライセンス費用と従量課金の利用料を足して、現在の月額を出す
- 現在のプールされた枠で賄われている分も含め、利用量の全体を、含まれる枠がない前提で見積もる
- Standalone のユーザー数に 10 ドルを掛ける。GitHub Enterprise Cloud のライセンス保有者は 0 ドルとして足す
- 従量課金と Standalone の費用を足し、現在の月額と比べる
判断を分けるのは 2 の見積もりです。いまは Business や Enterprise に付く枠で賄えている利用量が、移行後はすべて従量課金になります。利用量が多いチームほど、席料が下がった分以上に従量課金が増える可能性があります。逆に、補完が中心で Chat をあまり使わないチームは、席料の分だけ費用が下がる可能性があります。
この記事では、金額の試算値は載せていません。契約ごとの価格と移行の条件は、公式ドキュメントも担当者への確認を求めています。
移行を決める前の確認項目
以下は公式の手順ではなく、この記事が提案する進め方です。
- 現在の契約が、営業窓口経由かセルフサービスかを確認する。セルフサービスなら、日程が出るまで待つ
- 直近の数か月の利用量を、機能別 (補完、Chat、コードレビュー、クラウド上の Copilot) に分けて出す
- GitHub Enterprise Cloud のライセンスを持たないが Copilot を使う人の人数を数える
- Business / Enterprise の席と併用している組織がないかを確認する
- 予算の上限と、使い切ったときの連絡先を決めておく
- ファイアウォールの許可リストに、必要なエンドポイントがあるかを確認する
席数の管理から予算の管理に変わるので、経理や情報システムと「誰が予算を持ち、超えそうなときに誰が判断するか」を先に決めておくと、移行後の運用が止まりにくくなります。8 月に発表された座席の前払いなどの変更は、GitHub Copilot の課金・ポリシー変更にまとめています。
FIXITじゃあ、いま Business の人は、移ったほうが得なの?
Tsukasa判断の軸は、利用量の中身です。補完が中心なら有利に、Chat とクラウド上の利用が多ければ不利になりえます。
FIXIT の運用
AI 駆動開発のクリエイティブスタジオである FIXIT では、AI の開発ツールを使う組織にとって、契約の形より先に、利用量を機能別に把握することが運用の前提になると考えています。席数が同じでも、補完中心のチームと、エージェントを多用するチームでは、費用の動き方が大きく違うためです。
まとめ
今回の変更は、GitHub Enterprise のライセンスを持つユーザーの Copilot の席料を 0 にし、管理の中心を予算に移すものです。含まれる AI クレジットはなく、利用は最初のリクエストから従量課金です。コード補完と次の編集提案は予算なしで使え、Chat・コードレビュー・クラウド上の Copilot は予算が要ります。現行の契約は自動では移らず、セルフサービスの日程は未定です。
次の一歩は、直近の利用量を機能別に分けて出すことです。ツールの選び方そのものは Claude Code・Cursor・GitHub Copilot の比較、既定の有効化の設定は Copilot の既定の有効化ポリシーで扱っています。AI 開発ツールの導入と費用管理の設計は、AI 開発ツール定着支援でご相談いただけます。自社の状況を踏まえて検討したい方は、お問い合わせからご連絡ください。



