提案書は「ソース → 目的 → 骨子 → スライド」の順で組む

営業の提案書作成でつまずくのは、多くの場合「白紙から書き始めるところ」です。ヒアリング直後で頭のなかに情報はあるのに、パワーポイントを開いた瞬間に手が止まる。この摩擦を、NotebookLM は「ソースを渡して目的を 1 文伝える」だけで越えさせてくれます。

本記事では、営業現場で実際に使える提案書作成の手順を、5 ステップに分けて解説します。総覧的な使い方や機能の到達点は 営業職のための NotebookLM スライド作成完全ガイド を先に読むと、全体像が掴みやすくなります。

ステップ 1 — ソースを 3〜5 件に絞る

ソース登録はつい「多ければ多いほど良い」と考えがちですが、営業提案では逆効果になる場面が増えます。関係の薄い過去案件が混ざると、生成される骨子に古い前提が紛れ込みます。

推奨する構成は次のとおりです。

ソースの種類目安件数選ぶ基準
ヒアリングメモ1〜2 件今回の案件のもの
自社サービス資料1〜3 件今回訴求する商材のもの
過去の類似提案2〜3 件業界・案件規模・課題タイプが近いもの
業界レポート / 調査0〜1 件決裁者向けサマリで数字を使いたい場合のみ

「今回の顧客像に近い過去提案 3 件」に絞る、というのが実務での丁度良い塩梅です。

ステップ 2 — 目的を 1 文で明示する

チャット欄に最初に投げる 1 文が、その後の骨子の質を大きく左右します。営業提案では、次の 4 要素を 1 文に含めるのが型になります。

  • 顧客像 — どの業界・規模・立場か
  • 課題 — 今回解きたい主課題
  • 商材 — 訴求したい自社サービスの組み合わせ
  • 決裁者 — 誰が最終判断するか (現場責任者か経営層か)

たとえば次のような書き方です。

中堅製造業 (従業員 300〜500 名) の生産管理部門で、Excel ベースの工程管理が
限界に来ているお客様に対し、当社の SaaS 型工程管理システム A と伴走支援
サービス B を組み合わせた提案スライドの骨子を作成してください。決裁者は
経営会議のため、投資対効果と 3 年計画を厚めにお願いします。
FIXITFIXIT

えっ、こんなに具体的に書くの?もっとざっくりでも動く?

ShioriShiori

整理すると、ざっくりでも動きますが、決裁者を書くかどうかが大きいです。

FIXITFIXIT
決裁者って、そんなに効く?
ShioriShiori

優先順位で言うと、章立てが決裁者の関心順に組み直されます。ここが分かれ目です。

ステップ 3 — 骨子を先に出してからスライドに進む

慣れないうちは「いきなりスライド生成」を選びがちですが、まずチャットで 骨子 を出してもらう手順を挟むと、後段の手戻りが大きく減ります。

チャットで章立てが返ってきたら、次の 3 点を確認します。

  1. 章の順番が決裁者の関心順になっているか
  2. 訴求商材の分量が、案件金額とバランスしているか
  3. リスクや前提条件のスライドが漏れていないか

修正したい章があれば、章単位でチャットで指示します。「決裁者向けサマリを冒頭に 1 枚追加」「価格スライドを月額に統一」など、短い指示で通ります。骨子が固まった段階で、スライド生成に進みます。

ステップ 4 — スライド生成後は「章単位」で修正する

スライドが生成されたら、上部の「変更」欄で修正指示を入れます。ここでも 1 スライドずつ触るよりも、章単位で指示する ほうが結果的に整った出力になります。

よく使う修正指示のパターンは次のとおりです。

  • 「章 2 の投資対効果スライドに、3 年間の累積 ROI グラフの説明を追加」
  • 「価格章のスライドを月額・年額の 2 種類に分ける」
  • 「決裁者向けサマリ章の文字量を半分にして、要点 3 つに絞る」

日本語プロンプトが通ります。数回のやり取りで、7 割方の完成度まで持っていける想定で組みます。

ステップ 5 — PowerPoint 出力と最終調整

微修正が済んだら、三点リーダー (︙) から PowerPoint (pptx) をダウンロード します。ここで押さえておくべき制約が 1 つあります。

出力される pptx は、各スライドが 画像として貼り付いた形式 です。PowerPoint 上で文字を直そうとしても、テキストボックスにはなっていません。細かい文字修正が必要な場合は Google スライドに移すか、社内テンプレートに載せ替える手順を最終工程に組み込みます。

Google スライドで直接編集する場合は、NotebookLM 側から Google スライドに書き出す動線もあるため、営業チームで「NotebookLM → Google スライド → 社内テンプレート適用」の 3 段構成を型にしておくと、担当者間で体裁ブレが起きません。

PowerPoint 出力の詳しい制約や回避策は NotebookLM のスライドを PowerPoint に書き出す方法と編集制限 で個別に整理しています。

つまずきどころ — こんなときは骨子に戻る

現場でよく起きるつまずきパターンと、その戻り方を整理しておきます。

「スライドが冗長で、決裁者向けに絞れていない」
→ 目的の 1 文で決裁者を明示していないケースが多いです。ステップ 2 に戻って、決裁者情報を追加してやり直します。

「価格スライドの表現が案件の実態と合わない」
→ 過去提案のソースに、価格帯の違う案件が混ざっているケースが疑わしいです。ステップ 1 に戻ってソースを絞り直します。

「ロゴ・固有名詞が事実と違う内容で埋められている」
→ NotebookLM は周辺文脈から補完することがあります。ここは人が最終確認で必ず修正します。骨子生成の段階で「ロゴと固有名詞は空欄で」と指示しておくと、修正箇所が明確になります。

FIXIT の受け止め — 初稿の時間を圧縮し、詰めに回す

私たちの視点では、NotebookLM を使う目的は「営業がラクをする」ではなく「初稿を書く時間を圧縮して、レビューと詰めに時間を回す」ことにあると考えています。空いた時間を顧客理解の深掘りに使えれば、成約率と提案品質の両方が上がります。

新人育成の観点でも、骨子作成のプロセスを NotebookLM に沿わせることで、経験の浅いメンバーでも一定水準の提案書を組めるようになります。この効果は 新人営業の提案品質を NotebookLM で底上げする で個別に扱っています。

営業チームへの AI ツール定着支援は AI 開発ツール定着支援 のページや お問い合わせ から承っています。

よくある質問

Q. NotebookLM の骨子と、自分で書いた骨子はどちらを使うべきですか?

A. まず NotebookLM に出させてから、それをたたき台として人が組み直すのが実務的です。ゼロから書くより早く、AI 生成そのままより人の意図が入ります。「AI 生成を出発点に人の頭で組み直す」を毎回の型にしておくと、時間と品質の両方でバランスします。

Q. ヒアリング当日にそのまま NotebookLM を回して大丈夫ですか?

A. 大丈夫ですが、ヒアリング内容の整理を挟むほうが結果的に速く着地します。走り書きのメモを直接ソースにするのではなく、5〜10 分で「課題 / 現状 / 期待効果 / 決裁者 / 予算感」の 5 項目に整えてから入れます。この整理作業自体を NotebookLM のチャットで済ませる手もあります。

Q. 同じ案件で複数回スライドを作り直すとき、ノートは分けたほうがいいですか?

A. 分けたほうが良いです。同じノート内で複数回生成すると、前回の生成物の記憶が混ざって出力の一貫性が崩れることがあります。案件ごと、あるいは案件の主要フェーズごとにノートを切ると、後から見返すときも整理されます。

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