Google が Gemini API の Antigravity Agent (Interactions API 経由で呼び出す managed agent) を更新し、antigravity-preview-09-2026 を公開しました。旧バージョンの antigravity-preview-05-2026 は 2026 年 10 月 5 日に終了する予定です (公式の deprecations ページの表示で、タイムゾーンの記載はありません)。CI やスケジュール実行から agent="antigravity-preview-05-2026" を指定し続けているコードがあれば、期限が近づいています。

厄介なのは、この更新がバージョン番号の書き換えだけでは済まない場合があることです。パラメータの命名規則が変わり、ファイル編集の方式そのものが変わり、新しいツールも追加されました。自分でファイル操作ツールを実装している人ほど、対応の量が増えます。この記事では、公式情報の範囲で「何が変わったか」を整理し、自分がどちら側の対応をすべきかを判定できるようにしたうえで、旧→新のツール名対応表と移行チェックリストをまとめます。

なお、これは Gemini API の managed agent の話であり、ターミナルで動く Antigravity CLI や、Gemini Enterprise ライセンスへの Antigravity 追加とは別の話です。混同しやすい部分なので、後半で切り分けて整理します (Gemini CLI から Antigravity への移行ガイド も参照してください)。

antigravity-preview-05-2026 は 10 月 5 日に終了します

Gemini API の changelog の 2026 年 9 月 17 日付エントリには、次のように書かれています。

Antigravity Agent 09-2026: Released antigravity-preview-09-2026, which replaces and deprecates antigravity-preview-05-2026.

同じ更新のエントリには、終了予定についても記載があります。

antigravity-preview-05-2026 shuts down on October 5, 2026, tracked on the deprecations page.

公式の deprecations ページ の managed agents セクションでは、この 2 つのバージョンが次のように並んでいます。

バージョンリリース日shutdown date推奨される移行先
antigravity-preview-05-20262026-05-192026-10-05antigravity-preview-09-2026
antigravity-preview-09-20262026-09-17No shutdown date announced—

対象になるのは、Gemini API の Interactions API から agent="antigravity-preview-05-2026" のように agent ID を文字列で指定して呼んでいる利用者です。CI のワークフロー定義、環境変数、設定ファイルのどこかにこの文字列が埋め込まれていれば、そこが今回の対応箇所になります。

先に 1 点だけ区別しておきます。ターミナルで動く Antigravity CLI (コマンド名 agy) や、Gemini Enterprise ライセンスへの Antigravity 追加は、今回の話とは別レイヤーです。この区別は記事の後半でまとめて整理します。CLI や Enterprise ライセンスの話を探していた場合は、そちらを先に読んでも構いません。

あなたは 2 分で終わる側か、直す側か

どちら側に当たるかは、公式の changelog 自体が判定軸を示しています。同じ 2026 年 9 月 17 日付のエントリには、次のように書かれています。

If you run on a remote sandbox (environment: "remote") and read only output_text or model_output steps, update the agent string and nothing else changes.

If you run tools locally (local_environment) or parse function_call steps, the built-in tools changed. Parameters use PascalCase instead of snake_case, and file edits use line-range replacements instead of full rewrites.

整理すると、判定の条件は次の 2 つです。

  • environment: "remote" で remote sandbox を使い、output_text か model_output の step だけを読んでいる場合は、agent ID の文字列を書き換えるだけで済みます。ほかに変わる点はありません。
  • ツールをローカルで動かしている (local_environment) 場合や、function_call の step を解析している場合は、組み込みツールが変わっています。パラメータ名・ファイル編集の方式・新ツールのいずれかに依存したコードがあれば直す必要があります。

API ガイド に載っている呼び出し例は次のとおりです。

client.interactions.create(
    agent="antigravity-preview-09-2026",
    input=...,
    environment="remote",
    agent_config={"type": "antigravity", "model": "gemini-3.5-flash-lite"},
)

この例では agent_config で gemini-3.5-flash-lite を指定していますが、同じガイドによると、09-2026 で agent_config を省略したときの既定モデルは gemini-3.8-flash です。

API ガイドのコード例では、environment に "remote" を渡すほか、続きの呼び出しで前回の応答の environment_id を渡して同じ環境を使い続けています。ガイドによると、environment を指定するとファイルシステム系のツールが自動で有効になります。自分のコードが environment: "remote" の形で、function_call の step を自前で解析していないなら、2 分で終わる側です。

判定に迷う場合は、自分のコードで次の 3 点を検索してみてください。ヒットしなければ、2 分で終わる側である可能性が高くなります。

  1. write_file read_file のような snake_case のツール名をハードコードしている箇所
  2. エージェントからのファイル編集結果を、ファイル全体の書き換えとして処理しているパース・マージ処理
  3. function_call や tool_call のパラメータをキー名で直接参照している箇所

バージョン文字列だけ変えて放置すると何が起きるか

公式ドキュメントには、パラメータ名を変えないまま呼び続けた場合の挙動は明記されていません。ただし、一般的な API 実装では、未知のキーを黙って無視したり、必須パラメータが見つからなければ空値のまま処理を続けたりすることがあります。

そうなると、エージェントはエラーを返さないまま、ファイルを実際には書き換えていない、または意図しない範囲だけを書き換えている、という状態になりかねません。CI が緑のまま結果だけが違う、というのが一番気づきにくい壊れ方です。

FIXITFIXIT

えっ、エラーにならないなら気づかないままってこと?

DodaiDodai

可能性はあります。まず壊れ方から考えるなら、静かに壊れる側を先に疑うべきです。

FIXITFIXIT

じゃあどこを見ればいいの?

DodaiDodai

ツール呼び出しのパラメータを自分のコードで受け取っている箇所です。そこだけ洗い出します。

09-2026 で変わった 3 点

前章で引用した Gemini API の changelog の 2 つ目の段落のとおり、パラメータの命名規則とファイル編集の方式が変わりました。加えて、同じエントリの新旧対照表では、File and code search の行が 05-2026 では「None, agents used shell commands」(専用ツールは無く、エージェントがシェルコマンドで検索していた) となっており、09-2026 では find_by_name と grep_search が載っています。整理すると、変わったのは次の 3 点です。

変更点05-202609-2026
パラメータの命名規則snake_case (path offset など)PascalCase (TargetFile StartLine など)
ファイル編集の方式ファイル全体を書き換えるフルリライト開始行・終了行を指定した行範囲の置換
ファイル検索ツール専用ツールは無し (シェルコマンドで検索)find_by_name grep_search を新設

モデルページ では、この更新を「improved prompt caching, native code search tools, and efficient line-range file editing」と説明しています。同じページで確認できたモデル仕様は次のとおりです。

項目仕様
入力コンテキストウィンドウ1,048,576 トークン (約 135,000 トークンで自動的に圧縮)
出力の上限65,536 トークン

長時間のエージェントタスクを回している場合、この自動圧縮のタイミングでコンテキストの持ち方が変わる可能性があります。具体的な圧縮方法までは、モデルページに詳細な記載がありませんでした。

ツール名・パラメータの新旧対応表

Gemini API の changelog の 2026 年 9 月 17 日付エントリに載っている、組み込みツールの新旧対応です。

旧 (05-2026)新 (antigravity-preview-09-2026)変更の内容
write_file(path, content)write_to_file(TargetFile, CodeContent, Overwrite, Description)関数名・パラメータ名が変更。Overwrite Description が新設
read_file(path, offset, limit)view_file(AbsolutePath, StartLine, EndLine, ContentOffset)関数名・パラメータ名がともに変更
ファイル全体を書き換える編集replace_file_content(TargetFile, StartLine, EndLine, TargetContent, ReplacementContent)フルリライトから行範囲を指定した置換に変更
(該当ツール無し)find_by_name(SearchDirectory, Pattern, MaxDepth)新設。ファイル名によるファイル検索
(該当ツール無し)grep_search(SearchPath, Query, IsRegex)新設。内容に対する検索。正規表現の指定も可能
list_files(path)list_dir(DirectoryPath)関数名・パラメータ名がともに変更
code_execution(command, timeout_seconds)変更なし (Unchanged)シェル実行
google_search(queries)変更なし (Unchanged)Web 検索

API ガイド のツール一覧では、Filesystem の行に、environment を指定すると有効になり、サンドボックス内でファイルの読み取り・書き込み・編集・検索・一覧ができる、と説明されています。

移行チェックリスト

Google の公式ガイドに移行手順そのものは示されていません。ここからは、変更点を実務に落とすための本記事の提案です。判定 → 洗い出し → 修正 → 確認の順に進めます。

  1. 前述の 3 点 (snake_case のハードコード、フルリライト前提のパース・マージ処理、function_call のキー名参照) が自分のコードにあるか判定します。無ければ agent ID の文字列を書き換えるだけで完了です。
  2. ツール呼び出しのパラメータを組み立てている箇所、エージェントの応答をパースしている箇所、ファイル編集結果をマージしている箇所を洗い出して一覧化します。
  3. 前章の対応表を見ながら、関数名とパラメータ名を書き換えます。とくに read_file の offset limit は、view_file では StartLine EndLine ContentOffset に分かれるため、単純な文字列置換では済みません。
  4. ファイル全体が返ってくる前提のパース処理・マージ処理があれば、開始行・終了行と部分的な本文を受け取る前提に書き直します。
  5. shell 経由でファイル名検索や内容検索を自前実装している場合、find_by_name grep_search に置き換えられるかを検討します。
  6. 修正後、実際にエージェントを呼び出し、ファイルが意図した範囲で書き換わっているかを目視で確認します。CI が緑になることだけでは確認になりません。

要点

1 と 2 の間で作業量が大きく変わります。判定を後回しにせず、最初にどちら側かを確定させてください。

ベンダーの破壊的変更にどう向き合うか

今回のような managed agent の更新は、今回限りではありません。プレビュー版の agent ID がバージョンごとに切り替わり、旧版が数か月で終了するという流れは、今後も続く可能性があります。Gemini CLI から Antigravity CLI への移行も、対象は違いますが、ベンダー側の都合で利用者が乗り換えを迫られた例の 1 つです (詳細は後述の「Gemini CLI・Gemini Enterprise の話とは別件です」を参照してください)。

エージェント呼び出しの実装を、呼び出し元のコードに直接書き込むのではなく、薄いラッパー層に閉じておくと、今回のようなパラメータ名やツール名の変更が起きても、直す場所を 1 か所に絞れます。AI 開発ツールを組織に定着させるなら、ベンダー側の仕様変更に振り回されない運用設計を、導入の初期段階から組み込んでおくのが安全です。

複数の AI ベンダーを実運用で使い分けながら、こうした破壊的変更への耐性を含めて導入設計を進めたい場合は、AI 開発ツール定着支援 で支援しています。

10 月 5 日を過ぎたら何が起きるか

公式の deprecations ページで確認できるのは、antigravity-preview-05-2026 の shutdown date が 2026 年 10 月 5 日であることだけです。この日を過ぎたときに、旧 agent ID を指定した呼び出しがどのようなエラーになるのか、フォールバックが用意されているのかについては、changelog にも deprecations ページにも具体的な記載がありませんでした。

同じページで antigravity-preview-09-2026 の shutdown date は「No shutdown date announced」となっており、現時点で終了予定は公表されていません。ただし、今回の更新自体が 05-2026 のリリースから 4 か月ほどでの切り替えだったことを踏まえると、09-2026 もいずれ同様のサイクルで置き換えられる可能性はあります。

補足

記載が無い範囲を推測で埋めないでください。10 月 5 日を過ぎた場合の具体的な挙動は、公式ページの更新を待つか、実際に旧 agent ID で呼び出して確認してください。

Gemini CLI・Gemini Enterprise の話とは別件です

Antigravity という名前は、現在 3 つの異なる文脈で使われています。

文脈何の話か参照先
Antigravity CLIターミナルで動くコマンド (agy)。Gemini CLI の後継Gemini CLI から Antigravity への移行ガイド
Gemini Enterprise ライセンス対象ライセンスに Antigravity (IDE・デスクトップ・CLI) が追加費用なしで含まれる話Antigravity が Gemini Enterprise に追加
Antigravity Agent (本記事)Gemini API の Interactions API から呼び出す managed agent の話本記事

今回の antigravity-preview-09-2026 への更新は、API 経由で managed agent を呼んでいる開発者・テックリードに関係する話です。Gemini CLI の終了通知や、Gemini Enterprise の契約・予算管理の話とは対象読者も対応内容も異なります。

FIXITFIXIT

Antigravity って結局、CLI なの API なの Enterprise なの?

DodaiDodai

3 つ別物です。今回の話は API の managed agent だけに関係します。

FIXITFIXIT

じゃあ CLI だけ使ってる人はこの記事は関係ないんだ。

DodaiDodai

CLI の終了通知は別記事の話です。混同すると余計な作業が増えます。

自分がどの文脈の読者かは、実際に使っている呼び出し方を見れば判断できます。ターミナルで agy コマンドを叩いているなら CLI の話、Gemini Enterprise の契約・ライセンス画面を見ているなら Enterprise の話、Gemini API のコードで agent="antigravity-preview-..." を指定しているなら、本記事の話です。

まとめ

Google は 2026 年 9 月 17 日、Gemini API の Antigravity Agent を antigravity-preview-09-2026 に更新しました。旧 antigravity-preview-05-2026 は 2026 年 10 月 5 日に終了する予定です。

対応の分かれ目は、公式の changelog が示すとおり、environment: "remote" で output_text か model_output の step だけを読んでいるか、ツールをローカルで動かしたり function_call の step を解析したりしているかです。前者なら agent ID の文字列を書き換えるだけで済みます。後者の場合は、パラメータの PascalCase 化、ファイル編集の行範囲置換への変更、find_by_name grep_search という新ツールへの対応が必要です。旧→新のツール名対応表と移行チェックリストを本記事にまとめたので、該当する実装がある場合はそこから手を付けてください。

10 月 5 日を過ぎた後の具体的な挙動は公式ページに記載が無く、断定できません。期限が近いことだけは確かなので、判定を先延ばしにせず、対応が要る側なら早めに着手することをおすすめします。

Antigravity CLI の終了通知や Gemini Enterprise ライセンスの話は、それぞれ別記事で扱っています。今回のような managed agent の破壊的変更を含めて、AI 開発ツールをベンダーの変更に振り回されずに運用したい場合は、AI 開発ツール定着支援 や お問い合わせ からご相談ください。