Google のファイルの中で Claude を使えるようになりました

Anthropic が 2026 年 10 月 6 日 (米国時間) に、Claude now works with Google Docs, Sheets, and Slides を公開しました。Google ドキュメント・スプレッドシート・スライドの横に Claude のサイドバーを開き、開いているファイルを読んで、その場で編集できるアドオンです。

これまでは、Claude のチャットで文章や数式を作ってから、ファイルへ貼り付ける作業が必要でした。アドオンはその往復をなくします。一方で、情シスや導入担当の立場だと、気になるのは機能より先に「どのプランで使えるか」「何を読まれ、何を書き換えられるか」「組織でどう許可するか」だと思います。

本記事は、公式ブログ、公式ヘルプ、Google Workspace Marketplace の掲載ページを 2026 年 10 月 14 日に確認した内容だけで構成しています。確認できなかった項目は、できないとは書かずに「記載が無い」と書きます。Claude 側の文書機能である Claude Docs とは別の機能なので、そちらは Claude Cowork がチャットに統合された件 をご覧ください。

Docs・Sheets・Slides でできること

公式ブログとヘルプによると、Claude は開いているファイルと、選択中の文章・セル・スライドを把握します。範囲を選んでから頼むと、その部分に絞って作業します。編集を伴わない質問にも答えます。

アプリ公式に挙げられている作業
Docs文章と見出しをその場で編集する。書き直し、短縮、構成の組み替え、文章の表への変換、見出しの体裁と番号の修正
Sheets数式の作成と修正、ピボットテーブルとグラフの作成、タブの追加、データの整形。範囲を Python に渡して結合や整形をし、結果を書き戻す
Slidesデッキのレイアウトとテーマに沿ったスライドの作成。要素の重なり、はみ出し、読みにくい文字のチェック

Docs では、大きな書き換えが提案カードとしてサイドバーに出て、適用か却下を選べると公式ブログに書かれています。サインインした Claude アカウントのモデル・コネクタ・スキルがサイドバーでも使えるため、保存しておいたスキルでデッキの体裁をそろえる、といった使い方も公式ブログで例示されています。

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チャットで作ってから貼り付けるのと、何が違うの?

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ファイルの中で、選んだ範囲を読んだまま直接編集する点です。貼り付けの往復が要りません。

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じゃあ、勝手に書き換えられちゃうことは?

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既定は編集前に確認する設定です。承認の仕組みは、後の節にまとめました。

使える条件

公式ヘルプが挙げている条件は次のとおりです。

項目内容
対象プランPro・Max・Team・Enterprise のベータ。無料プランは対象に挙がっていない
Google アカウントMarketplace のアプリをインストールできるアカウント
Claude のサインインClaude アカウントのみ。API キー、Amazon Bedrock、Google Vertex AI、ゲートウェイは非対応
ブラウザーChrome・Edge・Safari。Firefox ではサイドバーは読み込まれるが、操作が完了しない
ファイル形式ネイティブの Google ドキュメント・スプレッドシート・スライドのみ

Word・Excel・PowerPoint の形式で保存されているファイルは、「ファイル」から Google 形式で保存し直す変換が要ります。

確認できなかった項目もあります。日本語での利用について、公式ヘルプも Marketplace の掲載ページも対応言語を記載していません。ヘルプページの言語切り替えは、ヘルプの表示言語を選ぶためのものです。アドオンのサイドバーが日本語の指示にどこまで対応するかは、公式の記載が無いため、導入前に手元で確かめてください。アドオン単体の価格と、このアドオンだけの利用上限も、確認した公式ページには記載がありません。

入れ方:個人と管理者の 2 通り

インストールは 1 回で、Docs・Sheets・Slides の 3 つに入ります。

個人で入れるときの手順は次のとおりです。

  1. Google Workspace Marketplace の Claude の掲載ページからインストールする
  2. 使う Google アカウントを選び、「続行」から権限を確認して許可する
  3. 開いているファイルを再読み込みする。「拡張機能」に Claude が出る
  4. 「拡張機能」>「Claude」>「Open Claude」を開く。初回は 2 つの権限を承認し、Claude アカウントでサインインする

組織で入れる場合、Google Workspace のスーパー管理者が掲載ページを開き、「Admin install」を選びます。全員、または特定のグループや組織部門を指定できます。データへのアクセスと規約を確認し、同意のチェックを入れて完了すると、利用者は再読み込みするだけで使えます。利用者側の操作は要りません。

組織が Marketplace のインストールを禁止している場合は、2 つの方法があります。

  • Marketplace のアクセスを許可リストのアプリだけに限定し、Claude を許可リストへ追加する
  • 管理者インストールを使う。利用者のインストールが禁止されていても実行できる

利用者に「このアプリケーションは管理者によって許可されていません」と表示されたときは、Google 側のメッセージです。Claude の設定では解消せず、Workspace の管理者が対応します。アンインストールも管理者が、Admin console の Marketplace アプリの一覧から実行し、全員に再読み込み後に反映されます。

勝手に書き換えられないための承認モード

編集の扱いは、2 つのモードで決まります。

モード動作
Ask before edits (既定)Claude が実行する操作を説明し、利用者が「Allow」を押すまで待つ
Accept all edits通常の内容の編集は、止まらずに実行する

Accept all edits を選んでも、止まる操作があります。公式ヘルプは、画像の Web アドレスからの挿入、リンクの追加、誰かのアクセス権の削除を「Security review」として、必ず承認を求める操作に挙げています。この 3 つには「常に許可」の選択肢がありません。

反対に、Claude にはできない操作も明記されています。ファイルの共有、アクセス権の付与、所有者の変更、メニューや定期実行の作成、任意の Web ページの読み込みです。

文書の中に紛れた指示への備えも書かれています。Claude は文書の内容を命令ではなくデータとして扱い、隠しテキストには印を付け、文書内の指示に従ってファイルの共有や外部への連絡をすることはない、という設計です。それでも、外部から受け取ったファイルでは、提案された操作を利用者が確認するよう、公式ヘルプは促しています。

アドオンとコネクタは別の機能です

名前が似ているため混同しやすいのですが、公式ヘルプはアドオンと Google Workspace のコネクタを区別しています。

観点アドオン (サイドバー)コネクタ (ベータ)
使う場所Docs・Sheets・Slides の画面の横Claude のチャット
対象開いている 1 ファイル連携した Google アカウントの Drive の権限に従う
向く作業開いているファイルを直接編集する新規ファイルの作成、複数ファイルにまたがる作業
有効化Marketplace からのインストールTeam・Enterprise は owner または primary owner が先に有効化

コネクタの扱いは、アドオンを許可するかどうかとは別の判断です。アドオンのサイドバーには、組織が有効にしたコネクタも並ぶため、Claude 側の管理者がコネクタ・スキル・モデルを決める役割を持ちます。Google 側の管理者はインストールと利用者を決めます。判断する人が 2 か所に分かれる点は、先に社内で整理しておくと迷いません。

現時点の制限

公式ヘルプが挙げている制限は次のとおりです。

範囲制限
共通開いているファイルだけが対象。サイドバーを閉じると処理が止まる。1 回の操作は 6 分まで。音声入力は不可
Docsコメントの読み取り・返信・解決ができない。Google ドキュメントの提案を承認・却下できない。タブの作成・名前変更・並べ替えができない (全タブの内容は読み書きできる)
SheetsConnected Sheets (BigQuery) のタブは読み書きできない。事前に「データ」>「データコネクタ」から抽出する。トリガー、カスタムメニュー、定期更新は作れない
Slides作成するグラフは静止画として挿入され、自動では更新されない。既存の連携グラフの更新は利用者が手動で行う

6 分の上限に当たると「Exceeded maximum execution time」が出ます。この場合は、作業を段階に分けて頼むよう案内されています。

会話の履歴はブラウザーにファイルごとに保存されます。別のブラウザー、プライベートウィンドウ、サイトデータの削除後、コピーしたファイルでは履歴が引き継がれません。

データの扱いと Enterprise の統制

公式ヘルプのデータの扱いは、次のように書かれています。

  • 開いているファイルの内容、メッセージ、添付ファイルは、応答を作るために Claude へ送られる
  • Anthropic はこの内容を学習に使わない
  • Team・Enterprise のデータは商用利用規約とデータ処理補遺 (DPA)、Pro・Max のデータは一般利用者向けの規約とプライバシーポリシーに従う
  • 入出力は 30 日以内に削除される。ただし保持に関する別の記事に書かれた例外がある。組織で設定した独自の保持期間は、アドオンには引き継がれない

Enterprise の統制は次の表のとおりです。

統制状況
Compliance API対応 (プロンプト、応答、ツール呼び出し、編集)
顧客管理の暗号鍵 (CMEK)対応
OpenTelemetry の監査エクスポート対応 (組織設定で構成)
サードパーティ推論 (Bedrock・Vertex・Azure・ゲートウェイ)ベータでは非対応
ゼロデータ保持 (ZDR)利用不可
HIPAA 対応の組織対象外。PHI には使わない

SSO は対応しており、利用者は Claude アカウントでサインインします。Google に求める権限は、サイドバーの表示と、アドオンを入れたファイルの表示・管理の 2 つが中心です。Drive・Gmail・カレンダーへのアクセスや、ファイルからのネットワーク通信は求めません。

監査ログの考え方は、Enterprise の別機能と合わせて見ると整理しやすくなります。Compliance API とローカルセッションの記録範囲 と Claude Enterprise の inference hooks もご覧ください。

導入前に決めておく 6 項目

ここからは、上記の一次情報から導いた運用の提案です。Anthropic が示した手順ではないので、自社の統制ルールに合わせて取捨してください。

  1. Marketplace の設定を確認する。組織の設定でインストールが禁止されている場合は、許可リストにするか、管理者インストールにするかを決めます
  2. 配布の範囲を決める。全員に入れるか、特定のグループや部門から始めるか。管理者インストールでは範囲を指定できます
  3. アドオンとコネクタを分けて可否を決める。判断する人が Google 側の管理者と Claude 側の owner に分かれます
  4. 承認モードの運用を書く。既定の Ask before edits のまま使うのか、Accept all edits にしてよい作業は何か、を文章にして案内します
  5. 契約構成を照らす。ZDR や HIPAA 対応、サードパーティ推論を前提にしている組織は、ベータでは対象外です
  6. 社内の手順書に制限を反映する。Docs のコメント返信、Sheets の BigQuery 連携、Slides のグラフ更新など、できない作業を前提にした業務を洗い出します

注意

ベータの期間中は、制限や対応範囲が変わる可能性があります。社内に告知する前に、公式ヘルプの最新の記載を確認してください。

FIXIT の運用

FIXIT は AI 駆動開発のクリエイティブスタジオとして、Claude をクライアントワークで使っています。新しい機能が出たときに先に見るのは、機能の派手さより、読み書きの範囲と、誰が許可を決めるかです。今回のアドオンは、読み書きの範囲が開いている 1 ファイルに絞られ、既定が承認制であるため、段階的に試しやすい設計だと読んでいます。

社内で Claude を業務に入れる場合、アドオンの許可だけでなく、どの資料を読ませてよいか、どの作業を任せてよいかを決める必要があります。部署ごとの実務に合わせて使い方を整える支援は Claude 研修 で扱っています。全社への展開と権限設計から相談したい場合は AI 開発ツール定着支援 もあります。

まとめ

論点確認できた内容
何が出たか2026 年 10 月 6 日 (米国時間)、Docs・Sheets・Slides 用の Claude アドオンがベータで公開
対象プランPro・Max・Team・Enterprise。無料プランは対象に挙がっていない
入れ方Marketplace から 1 回。管理者は許可リストか管理者インストール
読み書きの範囲開いている 1 ファイル。既定は編集前に承認
制限Firefox 非対応、1 回 6 分まで、アプリ別の制限あり
記載が無い日本語対応、アドオン単体の価格、利用上限

次の一歩は、自社の Marketplace の設定を管理者に確認し、少人数で承認モードのまま試すことです。使い方や統制の整え方を相談したい場合は、お問い合わせ から状況を教えてください。