fast mode が研究プレビューを終えた

Anthropic の公式リリースノートの 2026 年 10 月 15 日付の項目に、Claude Opus 5.5 の fast mode が研究プレビューを終えたと書かれています。アクセス申請は要らなくなり、fast-mode-2026-02-01 の beta ヘッダーも不要です。ヘッダーを付けたままのリクエストは、そのまま動きます。

これまでは「待機リストに入るか、アカウント担当に連絡しないと使えない機能」でした。見送っていた人も、いまは API を呼ぶときの指定を 1 行足すだけで試せます。ただ、変わったのは申請の要否と、Opus 5.5 に既定のレート制限が付いた点などです。料金が標準の 2 倍である点や、使えない条件は変わっていません。

本記事は、API の fast mode ページ、料金ページ、Claude Code の fast mode ページ、上記のリリースノートを 2026 年 10 月 16 日に確認した内容で書いています。Opus 5.5 そのものの変更点は Claude Opus 5.5 とは にまとめています。

申請不要になったのは Opus 5.5 だけ

公式の fast mode ページは、モデルごとに条件が違うと明記しています。

モデルfast mode の扱い単価 (入力 / 出力、100 万トークンあたり)
Claude Opus 5.5申請不要。beta ヘッダー不要$8 / $40
Claude Opus 5研究プレビュー。連絡か待機リストが必要。beta ヘッダーを送る$10 / $50
Claude Opus 4.8研究プレビュー。連絡か待機リストが必要。beta ヘッダーを送る$10 / $50

Opus 5 と Opus 4.8 の fast mode は変わっていません。モデル ID を切り替えるコードでは、Opus 5.5 だけ申請なしで通り、他のモデルはエラーで断られることがあります。

速さと料金の仕様

公式の説明では、fast mode は同じモデルを速い推論設定で動かすものです。モデルの重みも挙動も同じで、賢さや機能は変わりません。

  • 出力トークンの毎秒の数が最大 2.5 倍になる
  • 速くなるのは出力トークンの速度で、最初のトークンが出るまでの時間ではない
  • 効果はストリーミングで最も見えやすい

料金は、標準の単価に倍率をかけた形です。Opus 5.5 の標準は入力 $4・出力 $20 なので、fast mode はどちらも 2 倍になります。

項目標準fast mode
入力 (100 万トークンあたり)$4$8
出力 (100 万トークンあたり)$20$40

この単価は、20 万トークンを超える入力も含めて、コンテキスト全体に同じ倍率で適用されます。プロンプトキャッシュの倍率とデータレジデンシーの倍率は、fast mode の単価の上に乗ります。

レート制限は、標準の Opus とは別枠です。Opus 5.5 には Start・Build・Scale の usage tier で既定の制限が付き、Evaluation tier の組織は、Start 以上に移ると使えます。応答のヘッダーに anthropic-fast-input-tokens-remaining のような残量が入るので、混み具合はそこで確認できます。

API で点ける

リクエストに speed: "fast" を足します。Opus 5.5 なら、beta ヘッダーは要りません。

import anthropic
 
client = anthropic.Anthropic()
 
response = client.messages.create(
    model="claude-opus-5-5",
    max_tokens=4096,
    speed="fast",
    messages=[
        {"role": "user", "content": "このモジュールを依存性注入に書き換えて"}
    ],
)
 
print(response.usage.speed)  # "fast" または "standard"

レスポンスの usage.speed に、実際に使われた速度が入ります。fast mode に対応しないモデルへ speed: "fast" を送るとエラーになります。レート制限や容量の超過も、429 や 529 のエラーです。成功した場合の usage.speed は "fast" になります。

429 を受けたときの動きは、2 通りあります。公式 SDK は 429 を既定で 2 回まで自動で再試行し、retry-after が示す時間だけ待ちます。標準速度で続けたいなら、最初の fast のリクエストで再試行の回数を 0 にし、429 を受けたら speed を外して送り直します。

注意

fast から標準へ切り替えると、プロンプトキャッシュは使えません。速度が違うリクエストは、キャッシュされたプレフィックスを共有しません。

FIXITFIXIT

申請が要らないなら、全部 fast にしたほうが得なの?

HayateHayate

単価は 2 倍です。待ち時間が価値になる作業だけに絞るのが、コスパで言うと正解です。

Claude Code で点ける

CLI では /fast を実行し、Space で切り替えて Enter で確定します。ユーザー設定に次を書いても点きます。

{
  "fastMode": true
}

Claude Code v2.1.280 以降は、fast mode の既定モデルが Opus 5.5 です。点いている間は、プロンプトの横に ↯ が出ます。/fast をもう一度実行すると、点いているかどうかを確認できます。Opus 4.7 など fast mode に対応しないモデルへ切り替えると、fast mode は自動で切れます。

費用の出方は、サインインの方法で変わります。

  • Pro・Max・Team・Enterprise では、使用量クレジットから引かれます。プランに含まれる利用枠には入らず、枠に残りがあってもクレジットが使われます
  • 使用量クレジットが有効でないと、/fast は「Fast mode requires usage credits」と返します
  • Team と Enterprise は、先に Owner が組織の設定で fast mode を有効にします。既定は無効です
  • Claude Console の組織は、API の利用料と同じ請求に入ります。Usage と Cost のページで「Speed」を選ぶと、fast mode の分を分けて見られます

補足

Claude Code のドキュメントは、確認した時点でも fast mode を研究プレビューとして説明し、Console 組織にはアクセスの割り当てが要ると書いています。API の記載とは食い違っており、Opus 5.5 の API が申請不要になった内容を反映する前の文章が残っている可能性があります。Console で試して 429 が続くときは、アカウント担当に確認してください。

使用量クレジットが尽きたときは、拒否されたリクエストを Claude Code が標準の速度と単価で再試行し、作業は止まりません。対話セッションでは「Fast mode disabled · usage credits exhausted」と出て、そのセッションの fast mode が切れます。

使えない条件

公式の記載で、fast mode が使えないのは次の場合です。Bedrock と Google Cloud の可否は、Claude Code のドキュメントの記載です。

条件扱い
Batch API使えない
Priority Tier の契約使えない
Claude Platform on AWS現時点では使えない
Amazon Bedrock・Google Cloud使えない
Claude in Microsoft FoundryAzure でホストした配備は Opus 5.5 が対象。Anthropic ホストの配備は対象外

リリースノートによると、Foundry の対応は同じ 10 月 15 日の項目に入っています。Priority Tier を契約している組織は、fast mode を前提に設計しないでください。

請求で先に知っておくこと

Claude Code のドキュメントには、費用の出方で注意する点が 2 つあります。

1 つ目は、会話の途中で初めて fast mode を点けたときです。その会話の文脈全体に、fast mode のキャッシュなしの入力単価が一度かかります。会話が深いほど高くつくため、点けるなら会話の最初が最も安く済みます。この費用は 1 つの会話で一度だけで、点け直しても繰り返されません。

2 つ目は、速度の切り替えとプロンプトキャッシュの関係です。標準と fast は、キャッシュを共有しません。長いプレフィックスを使い回す処理で速度を行き来させると、キャッシュが効かなくなります。

最初のトークンが出るまでの時間も縮まないので、短い質問に短く答える用途では、料金が倍になるほどの差は出ないかもしれません。

点ける場面と点けない場面

Claude Code のドキュメントは、次のように分けています。

  • 向く場面: コードの細かい修正を繰り返す作業、ライブのデバッグ、締め切りが近い作業
  • 向かない場面: 長く自走させる作業、バッチ処理や CI/CD、費用を優先する作業

effort との関係も書かれています。fast mode は品質を保ったまま待ち時間を減らし、effort を下げると思考が減って速くなりますが、難しい作業では品質が下がりえます。単純な作業なら、fast mode と低めの effort の併用で最も速くできます。

複数人で使う組織では、fastModePerSessionOptIn を true にすると、各セッションが fast mode を切った状態で始まります。同時に複数のセッションを回すメンバーがいる場合の、費用の抑え方として案内されています。

確認できなかったこと

  • Claude Code で Opus 5.5 の fast mode が、API と同じ日に研究プレビューの扱いを外したかは、Claude Code のドキュメントの表記から判断できませんでした
  • X の公式アカウントの案内は、取得できなかったため根拠に使っていません。上の日付は、リリースノートの記載です
  • 日本語での出力に対する速度の差は、公式の記載がありません。手元で測ってください

FIXIT の運用

FIXIT は AI 駆動開発のクリエイティブスタジオとして、Claude をクライアントワークで使っています。新しい設定が出たときに先に見るのは、速さよりも、誰の費用に載り、誰が止められるかです。fast mode は単価が 2 倍で、クレジットから直接引かれるため、個人の判断に任せるとチームの費用に響きます。

チームで Claude Code を運用するなら、fast mode を誰に許すか、会話の最初に点ける運用にするか、セッションごとの opt-in にするかを先に決めておくと迷いません。使い方のルール作りは AI 開発ツール定着支援 で扱っています。

次の一歩は、1 つの作業で標準と fast mode の完了時間と費用を並べて測ることです。Opus 4.8 世代の Fast mode の使い分けは Opus 4.8 を使いこなす要点 にあります。チームの運用ルールの整え方を相談したい場合は、お問い合わせ から状況を教えてください。