Claude Security が継続スキャンと修正追跡に対応した
Anthropic は 2026 年 10 月 21 日、Claude Security の継続スキャンと修正追跡 を発表しました。Claude Security は、コードの脆弱性を見つけて修正を支援する機能です。今回の更新版は公開ベータで、対象は Claude Enterprise です。
これまでの手動スキャンに加えて、リポジトリの変更を継続的にスキャンし、修正を確認した指摘を修正済みにします。同じ問題を再検出すると、自動で再オープンします。無料クレジットには、期限と条件があります。
本記事は、公式の発表ページと Help Center を 2026 年 10 月 28 日に確認した内容に基づきます。GitHub 側の近い話題は、GitHub の漏洩シークレット検出モデルと AI Credits にまとめています。
何が変わったか
発表で挙がっている更新点は、次のとおりです。
| 更新点 | 内容 |
|---|---|
| 継続スキャン | 最初に全体を調べ、そのあとは変更のリスクと複雑さに応じて再スキャンする |
| 複数リポジトリのプロジェクト | 複数のリポジトリをまとめて見るため、サービス間の問題も探せる |
| 修正状況の追跡 | 変更されたコードと突き合わせ、修正されたら修正済みにする。再発したら再オープンする |
| 知識ベース | デプロイ方法やセキュリティポリシーなどの背景を、プロジェクトごとに書ける |
| 脅威モデル | コードから生成され、チームが確認・編集できる。以後のスキャンで何を指摘するかの判断に使われる |
| 重大度と攻撃経路 | 脅威モデルに照らした重大度と、攻撃者が脆弱なコードに至る道筋の説明が付く。攻撃経路の図が付くこともある |
| API・Webhook | プロジェクトや指摘の取得、解決・再オープン、プロジェクトの管理ができる。新しい指摘を他のシステムへ通知できる |
| MCP コネクタ | Claude.ai と Claude Code から、指摘の確認、修正の開始、解決の記録を 1 つのセッションで行える |
| ロール別の権限 | プロジェクトを見る人、指摘に対応する人、プロジェクトを作る人を管理者が分けられる |
FIXIT前からあった手動スキャンと、何が違うの?
Tsumikiコードの変更を継続的に調べ、修正状況も追跡する点です。人が毎回スキャンを開始する必要がありません。
FIXITじゃあ、全部おまかせでいいの?
Tsumiki脅威モデルや知識ベースは、人が書いて直す部分です。何を危険とみなすかは、チームが決めます。
継続スキャンの仕組み
リポジトリの接続方法は 2 通りです。Claude の GitHub アプリ (GitHub Enterprise Server を含む) か、GitLab などの Git プロバイダのアクセストークンを使います。管理者がリポジトリごとにブランチと範囲を選びます。
スキャンの流れは次のとおりです。
- 最初に全体のスキャンをかける。リポジトリの大きさにより、数分から数時間かかる
- 以後は新しいコミットを確認し、変更のリスクと複雑さで再スキャンの範囲を決める
- メール通知を有効にしていれば、スキャンが終わって新しい指摘があるときに通知が届く
Help Center には「固定のスケジュールは無い」と書かれています。毎日決まった時刻に実行されることを前提にはできません。スキャンは確率的で、実行のたびに分析の進め方が変わり、結果が変わることがあるとも説明されています。固定のパターンに当てはめる従来の静的解析とは性質が違います。監査では、同じコードなら毎回同じ結果になるとは扱わず、スキャンごとに結果を確認してください。
1 つのプロジェクトには、リポジトリを 8 つまで登録できます。各リポジトリは「指摘を報告する対象」か「分析の参考情報として参照する対象」かを選びます。どちらも上限の 8 つに含まれます。大きなモノレポは、フォルダーで範囲を絞れます。
修正状況の追跡と、再オープンの条件
未解決の指摘は、コードの変更後に再確認されます。修正されていれば、修正済みになります。発表によると、Claude Code での修正でも、ほかの方法での修正でも検知されます。
修正済みの指摘は、同じ問題が再び見つかると自動で再オープンされます。
一方、人が却下した指摘は、以後のスキャンで再び出ません。却下の理由は、誤検知、リスクの受容、重複などから選び、メモを付けられます。「受容したリスク」として却下するときは、メモに理由を残しておくと、あとで見返せます。
指摘の画面から「Fix」を押すと、その脆弱性の修正用に Claude Code が開きます。クラウド版の Claude Code が使えない場合は、案内されるプロンプトを自分の Claude Code に貼ります。
脅威モデルと重大度
脅威モデルは、Claude がコードから生成するものです。チームが確認して編集でき、以後のスキャンで何を指摘するかと、重大度の評価に使われます。既存の対策で防げているリスクを指摘対象から外す判断にも使われます。
重大度は、脆弱性の種類だけで決まるものではありません。Help Center によると、対象のコードベースでどれほど悪用しやすいかを基に評価されます。同じ種類でも、リポジトリが違えば重大度が変わります。
| 重大度 | 公式の目安 |
|---|---|
| Critical | ログインも被害者の操作も特別な条件も要らず、ネットワーク上の誰でも悪用でき、読み書きの両方ができる |
| High | 影響は重大だが、ログインや被害者の操作が要る、または読み取りだけなどの部分的な被害にとどまる |
| Medium | 影響が限られ、ログインのような現実的な前提条件が 1 つある |
| Low | 影響が限られ、ログインやネットワーク上の近接性に加えて、攻撃者が制御できない特別な条件が要る |
自社の環境では成立しない攻撃を指摘された場合は、プロジェクトのチャットで理由を伝え、脅威モデルの更新を依頼します。公式の FAQ では、そのように案内されています。重大度の評価が実態と合わない場合も、脅威モデルの見直しが必要です。
無料クレジットの条件
発表には、Claude Enterprise の組織に毎月 2.5 万ドルの無料クレジットが 2 か月分付く、とあります。適用条件は Help Center の規定に記載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | Claude Enterprise の組織 (AWS Marketplace 経由を含む) |
| 金額 | 連続する 2 か月について、各月で最大 2.5 万ドル |
| 申し込み | 不要。新しい Claude Security の利用に自動で適用される |
| 月の区切り | 組織の開始日から、翌月の同じ日まで |
| 繰り越し | できない |
| 開始日 | 既存の Enterprise の組織は 2026 年 10 月 21 日。あとから契約した組織は、その契約日 |
| 終了日 | 2026 年 12 月 31 日 (UTC) の終わり。2 か月が終わっていなくても打ち切られる |
| 使われる順 | 契約済みの支出や利用クレジットより先に使われ、前払いの利用クレジットとは別になる |
| 旧版 | 旧版のプロジェクトでの利用は対象外。移行すると対象になる |
無料クレジットの期間は、Claude Security を使っていなくても進みます。利用開始が遅れると、無料で試せる日数が減ります。また、2026 年 11 月 1 日より後に Enterprise を契約した組織は、2 か月間すべてを利用期間として確保できません。
クレジットが尽きるか、提供が終わったあとは、使用したトークンの費用が請求されます。公式によると、プラットフォーム手数料は無く、スキャン、脅威モデルの作成、プロジェクトのチャット、修正の確認に使った分が対象です。Claude Security だけの支出上限も設定できます。管理者は Organization Settings の Usage 内にある Services、または Claude Security 内の Spend limit で無料クレジットの残高を確認できます。
適用条件の詳細は、Help Center の無料クレジット規定と Claude Promotional Credit Offer Terms を参照してください。
導入前に確認すること
導入判断では、契約と利用環境が次の条件を満たすかを確認してください。
- 契約: 有効な Claude Enterprise、利用者ごとの premium seat、消費課金のための利用クレジットの有効化が前提。管理者が組織の設定で Claude Security を有効にする
- 接続: GitHub Enterprise Server や他の Git ホストは、Anthropic の公開 IP の範囲からの接続を許可する必要がある
- データの扱い: ZDR には対応していない。法律上必要な場合や利用ポリシー違反への対処で、データを保持することがある
- 規模: 1 プロジェクトは 8 リポジトリまで。大きなモノレポはフォルダーで絞る
- 旧版: 旧版のプロジェクトは移行できるが、メンバー、Webhook、除外したディレクトリ、スキャン履歴、定期スキャンは引き継がれない。GitHub Enterprise のプロジェクトは移行できない
- 権限: プロジェクトを共有するときは Full・Triage・View の 3 つから選ぶ。Triage は指摘の状態を更新し、修正を始められる
- 通知: 新しい指摘は、Webhook で Slack や Jira のようなシステムに流せる
ZDR が必要な場合や、Anthropic のホスト型エージェント基盤を避けたい場合、Help Center では同じ技術を使う Claude Code 向けセキュリティプラグインが代替として案内されています。ただし、使われるモデルは Claude Code のアカウントで使えるものになり、Claude Security と同じとは限りません。
導入後の担当と対応方針
本記事は公式情報に基づく解説で、FIXIT による Claude Security の導入・検証事例ではありません。
AI のセキュリティ検査を導入する際は、指摘の件数だけで評価せず、内容を判断する担当者、修正する担当者、リスクを受容する際の承認者を決めておく必要があります。継続スキャンでも、対応方針の判断はチームに残ります。AI 駆動開発の現場でのセキュリティ対策は AI 駆動開発のセキュリティ にあります。ツールの導入と権限設計は AI 開発ツール定着支援、セキュリティ体制そのものの相談は セキュリティコンサルティング で扱っています。
導入を検討する際の相談先
まずは Claude Enterprise の契約と ZDR の要否を確認し、対象にするリポジトリを選んでください。無料クレジットには期限があるため、検証する項目と担当者も事前に決めておくと、期間内に導入を判断しやすくなります。FIXIT は AI 駆動開発のクリエイティブスタジオとして、ツール選定から運用設計まで支援しています。導入のご相談は お問い合わせ からお寄せください。


