先に結論|変わったのは名前と課金で、期限は北京時間の 11 月 1 日 0 時

DeepSeek が API の deepseek-flash を、V4.1-Flash の更新版である V4.1-Flash-1017 に切り替えました。重みは Hugging Face に MIT ライセンスで公開されています。あわせて、Search API と Fetch API が使えるようになりました。

実務で先に見るのは、モデルの性能より課金です。DeepSeek Harness・Claude Code・Codex 経由のサーバー側ツール呼び出しは、いま無料です。課金は北京時間 2026 年 11 月 1 日 0 時 (日本時間では 1 時) に始まり、Search・Fetch とも成功した 1,000 回で 0.75 ドルになります。

本記事は、DeepSeek の更新告知、料金ページ、検索の手順、コーディングエージェント向けの設定、Hugging Face のモデルカードを 2026 年 10 月 19 日に確認した内容だけで書いています。公式に記載が無い項目は、できないとは書かずに「記載が無い」と書きます。

DeepSeek の大きなモデルを自社の GPU に置く場合の見積もりは、オープンウェイトモデルを自社で動かす記事で扱っています。手元のメモリ別に動かせるモデルの目安は、ローカル LLM とはにまとめています。

V4.1-Flash-1017 で何が変わったか

モデルカードと告知から確認できた点を表にします。

項目内容
API のモデル名deepseek-flash が V4.1-Flash-1017 を指す
ライセンスMIT (リポジトリとモデルの重み)
パラメータ数763B
コンテキスト1M (API の最大出力は 384K)
画像入力API の deepseek-flash は対応
推奨設定temperature 1.0、top_p 1.0、max_tokens は 256K 以上

公開日は、告知ページにもモデルカードにも記載がありません。二次情報には日付を書いたものがありますが、本記事では日付を断定しません。

自分で動かす場合の注意も、モデルカードに書かれています。Jinja のチャットテンプレートは付属せず、会話・ツール呼び出し・思考モードの組み立ては、同梱の Python の参照実装か、公式が案内するライブラリ (deepseek-recipe) で行います。vLLM と SGLang の提供例はありますが、モデルカードの時点では推論プロバイダーでの提供はありません。

なお、MIT ライセンスが当てはまるのは、公開された重みとリポジトリです。API を使うときの条件は、MIT ライセンスとは別に DeepSeek の API 側の規約で確認してください。

FIXITFIXIT

MIT って、商用でも自由に使えるってこと?

HayateHayate

重みについてはライセンス本文の条件に従います。API 経由で使うなら、別に API の利用条件があります。

FIXITFIXIT

じゃあ、API だけ使うなら何を見ればいいの?

HayateHayate

名前の対応と、検索の課金です。次の節で順に見ます。

旧名 deepseek-v4-flash はそのまま使えるか

告知によると、旧名の deepseek-v4-flash と deepseek-v4-flash-vision-exp は引き続き受け付けられます。ただし、元のモデルは退役済みです。リクエストは V4.1-Flash-1017 に回され、課金は Flash の料金です。

呼び方扱い
deepseek-flashV4.1-Flash-1017
deepseek-v4-flash受け付ける。1017 版に回る
deepseek-v4-flash-vision-exp受け付ける。1017 版に回る
deepseek-v4-proDeepSeek-V4-Pro-0813

旧名をいつまで受け付けるかは、確認した公式ページに記載がありません。コードに旧名が残っているなら、次の 2 点を確認します。

  1. 旧名が 1017 版に回っても、出力の形式や口調が変わって困る処理がないか
  2. 新しく書く部分や設定ファイルは、deepseek-flash に揃えられるか

旧名のまま動いていても、中身のモデルはすでに入れ替わっています。評価やテストの結果は、入れ替わった後の 1017 版で取り直すのが確実です。

Search / Fetch API の課金の仕組み

Search API と Fetch API は、DeepSeek 独自の検索エンジンを使って、Web 検索とページ取得を提供します。単価はどちらも、成功した 1,000 回のリクエストにつき 0.75 ドルです。

課金される条件は、検索の手順に次のように書かれています。

  • 課金されるのは、HTTP 200 で、検索なら結果が空でなく、取得なら内容が返ったリクエストだけ
  • 結果が空の応答、失敗、タイムアウトは課金されない
  • 検索の count (1〜50、既定は 10) を変えても、単価は変わらない

制限は、Search と Fetch がそれぞれ 1 秒に 5 リクエストまでで、アカウント単位です。別々に数えられ、Fetch にはドメインごとの制限もあります。上限を超えると HTTP 429 が返ります。

呼び出し方は、どちらも JSON の POST で、Authorization: Bearer に DeepSeek の API キーを付けます。

POST https://api.deepseek.com/v1/tools/search
POST https://api.deepseek.com/v1/tools/fetch

月の費用の見積もりは、成功した回数に単価を掛けるだけです。

月の費用 (ドル) = 成功した検索・取得の回数 ÷ 1,000 × 0.75

たとえば成功が 1 万回なら 7.5 ドル、10 万回なら 75 ドルです。この式の入力は回数だけなので、見積もりで難しいのは、エージェントが自動で呼ぶ回数のほうです。

Claude Code・Codex から使うときの課金開始

料金ページによると、DeepSeek Harness・Claude Code・Codex 経由のサーバー側ツール呼び出しは、いま無料です。検索の手順にも、これらの経由では呼び出しが Search・Fetch API に送られ、課金は北京時間 2026 年 11 月 1 日 0 時に始まると書かれています。

北京時間は UTC+8、日本時間は UTC+9 なので、日本時間では 11 月 1 日の 1 時です。日本時間の 10 月 31 日の夜から 11 月 1 日の 0 時台に実行される処理は、まだ無料の側にあたります。

ここで注意したいのは、無料と書かれているのが、これらを経由した呼び出しである点です。API を直接呼ぶ場合に無料かどうか、いつまで無料かは、確認した公式ページに記載がありません。直接呼ぶ処理がある場合は、単価が適用される前提で試算するのが安全です。

注意

課金の開始日は北京時間で書かれています。社内の期限や請求の締めと照らすときは、日本時間に直して書き残してください。

トークン単価とピーク時間

Flash のトークン単価は、料金ページでは 100 万トークンあたりの米ドルで、オフピークとピークに分かれます。ピークの単価はオフピークの 2 倍です。

区分オフピークピーク
入力 (キャッシュヒット)0.003 ドル0.006 ドル
入力 (キャッシュミス)0.15 ドル0.3 ドル
出力0.6 ドル1.2 ドル

ピークは、UTC の平日 1〜4 時と 6〜10 時です。中国の祝日は除かれます。日本時間に直すと 10〜13 時と 15〜19 時にあたります。平日かどうかは UTC の曜日で決まる点に注意してください。

日本の業務時間はピークと重なる部分が多く、昼休みの 13〜15 時はオフピークです。夜間に回せる処理は、単価を半分にできる計算です。実際の請求は、自社の明細で確かめてください。

Claude Code から使う公式の設定

DeepSeek のコーディングエージェント向けのページには、Claude Code の環境変数が書かれています。

export ANTHROPIC_BASE_URL=https://api.deepseek.com/anthropic
export ANTHROPIC_AUTH_TOKEN=<DeepSeek の API キー>
export ANTHROPIC_MODEL=deepseek-flash[1m]
export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL=deepseek-flash[1m]
export ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL=deepseek-flash[1m]
export ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL=deepseek-flash
export CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL=deepseek-flash
export CLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL=max

[1m] は、1M のコンテキストを使う指定です。同じページには OpenCode と OpenClaw の手順もあります。Codex の設定手順は、このページにはありません。Codex から使う場合の具体的な設定は、確認した公式ページに記載が無いので、本記事では扱いません。

この設定で Claude Code を DeepSeek の API に向けると、検索や取得のサーバー側ツールの呼び出しが、前の節の課金の対象になります。Claude Code の通常のコスト管理は、Claude Code のコスト最適化の記事にまとめています。

ベンチマークの数字をどう読むか

モデルカードには、前の V4.1-Flash との比較が載っています。一部を抜き出します。

ベンチマーク1017 版従来の V4.1-Flash
DeepSWE v1.177.074.2
Terminal-Bench 4.042.331.2
HLE (ツールなし)42.636.8

モデルカードの注記によると、Terminal-Bench 4.0 は Claude Code のハーネス、DeepSWE v1.1 は Mini-SWE-V2 のハーネスで測っています。数字は DeepSeek 自身の測定値です。独立した再現は、確認した範囲では見つかりませんでした。

読み方の目安は 3 つです。

  1. 前の版との差は、同じ条件で測った数字なので、更新で伸びた方向を見る材料になる
  2. 他社モデルとの並びは、測定条件が揃っている保証がないので、順位の根拠にしない
  3. 自社のコードベースでの結果は、別物と考える

実際のタスクで使えるかは、社内の小さな課題を数件流して確かめるのが速いです。ベンチマークの数字は、試す順番を決める参考に留めます。

11 月 1 日までに確認する 5 項目

ここからは、上の一次情報から考えた運用の提案です。DeepSeek が示した手順ではないので、自社の事情に合わせて取捨してください。

  1. 旧名の deepseek-v4-flash が、コードや設定に残っていないか。残すなら、1017 版に回ることを前提に評価を取り直す
  2. Claude Code・Codex の経由で、検索・取得がどの程度呼ばれているか。直近の回数が分かれば、前の節の式で月の費用を出せる
  3. 直接 API を呼ぶ処理に、Search / Fetch が含まれていないか。無料の対象外になる前提で試算する
  4. 北京時間 11 月 1 日 0 時を日本時間の 1 時に直し、請求や社内の告知と合わせる
  5. 検索が不要な処理は、エージェントの設定で検索を使わない構成にできるか。公式ページに無効化の手順は書かれていないので、使うツール側の設定を確認する

5 については、公式ページに記載が無いため、手順は書いていません。どこで止められるかは、使っているツールの文書で確かめてください。

FIXIT の運用

FIXIT は AI 駆動開発のクリエイティブスタジオとして、モデルやツールを組み合わせてクライアントワークを進めています。新しいモデルが出たときに先に見るのは、順位よりも、課金の軸が増えていないか、期限がいつかです。今回のように、トークン単価とは別の課金軸が増える変更は、請求を見るまで気づきにくいからです。

モデルとツールの使い分け、コストの見方、チームでの運用ルールは、AI 開発ツール定着支援で扱っています。

次の一歩は、直近 1 か月の検索・取得の回数を洗い出し、前の節の式で月の費用を出すことです。複数のモデルをまたいだコスト設計や統制を相談したい場合は、お問い合わせから状況を教えてください。