結論|ローカル LLM は「機材」と「外に出せないもの」から選ぶ

ローカル LLM は、モデルの重みを手元の PC や社内サーバーに置き、推論まで自分の機材で完結させる使い方です。推論の入力が外に出ないことが最大の利点で、コストが下がるかどうかは使い方次第です。

判断の順番は次のとおりです。

  1. 何を外に出せないのかを決めます。外に出してよいデータなら、まずクラウドの LLM で用が済まないかを確かめます
  2. 手元のメモリ量から、動かせるモデルの大きさを計算します。4 ビット量子化なら 16GB で 12B 級、24GB で 30B 級が目安です
  3. その大きさのモデルから、ライセンスと用途で候補を絞り、自分のタスクで試します

この記事は、手元で LLM を動かしたい開発者と、機密データを外に出せない業務で社内の AI を検討している情報システム担当の方に向けて書いています。数値は 2026 年 10 月 5 日に確認した公式ドキュメントとモデルカードに基づきます。個別のモデルは、各節から Gemma 4 12B などの解説記事へ進んでください。

ローカル LLM とは|クラウドの LLM との違い

ChatGPT や Claude のようなクラウドの LLM では、入力を提供元のサーバーへ送り、そこで計算した回答を受け取ります。ローカル LLM では、この計算を自分の機材で行います。

観点クラウドの LLMローカル LLM
計算する場所提供元のサーバー手元の PC・社内サーバー
入力データ提供元へ送信される機材の外へ出ない (モデルを手元で動かす場合)
費用の構造使った量に応じた従量課金・月額機材と電気代。モデルの利用料は多くが無料
性能の上限最上位モデルが使える手元のメモリに載る大きさまで
ネットワーク必須モデル取得後は不要
停止のリスク提供元の障害・仕様変更の影響を受ける自分で管理する

動かすのに必要な要素は 3 つです。1 つ目は重みで、学習済みモデルの中身です。公開されているものを「オープンウェイト」と呼び、Hugging Face などから取得します。2 つ目は推論ランタイムで、重みを読み込んで計算するソフトです。Ollama・LM Studio・llama.cpp が代表的です。3 つ目は機材で、重みと計算途中のデータを載せるメモリ (GPU の VRAM、または Apple Silicon のユニファイドメモリ) の量が、動かせるモデルの大きさを決めます。

もう 1 つ押さえておきたいのが量子化です。重みの数値の精度を 16 ビットから 8 ビットや 4 ビットに落とし、必要なメモリを減らす手法で、llama.cpp は 1.5 ビットから 8 ビットまでに対応しています (llama.cpp の README)。手元で動かすモデルの多くは、4 ビット前後に量子化された版です。

ローカル LLM でできること・向かないこと

できることは、クラウドの LLM と同じく文章の要約・分類・抽出・書き換え・翻訳・コード生成です。手元に載る大きさのモデルは、ベンダーの公表値では一部のベンチマークでクラウドの上位モデルに並ぶものの、長い作業や設計判断で同じ品質が出るかは、自分のタスクで確かめる必要があります。ローカルに任せるかどうかは、処理の型で線を引くと判断しやすくなります。

処理の型ローカル LLM との相性理由
外に出せない文書の要約・分類・項目の抽出向く入力が外に出ないことがそのまま価値になる
決まった形式への変換 (議事録の整形、ログの整理)向く指示が明確で、中規模のモデルでも品質が安定しやすい
オフライン・閉域ネットワークでの利用向くモデル取得後はネットワークが要らない
大量の定型処理を繰り返すバッチ条件付き機材を常時使い切れるなら従量課金より費用を見積もりやすい
長時間の自律作業、複雑な設計判断自分のタスクで確かめる上位のクラウドモデルのほうが安定しやすい傾向がある
最新の情報を踏まえた回答向かないモデルの知識は学習時点で止まる。検索との組み合わせが要る

社内文書を参照して答えさせたい場合は、検索と組み合わせる RAG の設計が必要です (RAG 構築の実践ガイド)。画像生成 (Stable Diffusion など) は別系統のモデルとツールになるため、この記事では扱いません。

必要スペック|メモリはモデルの大きさから計算できる

重みのメモリ = パラメータ数 × 精度のバイト数

重みを載せるメモリの下限は、パラメータ数に 1 パラメータあたりのバイト数を掛けた値です。

精度1 パラメータ12B のモデル27B のモデル
bf16 (16 ビット)2 バイト約 24GB約 54GB
8 ビット1 バイト約 12GB約 27GB
4 ビット約 0.5 バイト約 6GB約 14GB

実際の配布ファイルは、量子化の方式や画像入力の部品を含むかどうかで、この概算より大きくなります。たとえば Ollama の qwen3.8:27b (4 ビット) は 18GB、bf16 版は 56GB です (Ollama のタグ一覧)。概算で当たりをつけ、最後は配布サイズで確かめてください。

コンテキスト長もメモリを使う

入力が長くなるほど、計算途中のデータ (KV キャッシュ) を置くメモリが増えます。見落としやすいのが、Ollama が VRAM の量に応じてコンテキスト長の既定値を変える点です (Ollama の Context length)。

VRAMOllama の既定のコンテキスト長
24GiB 未満4K トークン
24〜48GiB32K トークン
48GiB 以上256K トークン

同じページは、Web 検索・エージェント・コーディングツールには 64,000 トークン以上を設定するよう案内しています。16GB の機材で起動できたモデルでも、既定の 4K のままでは長い文書を一度に入れられません。コンテキスト長を延ばすとその分メモリを使うため、重みのサイズだけで機材を決めないでください。

手元のメモリ別に動かせる規模の目安

2026 年 10 月 5 日時点の Ollama の配布サイズから整理すると、目安は次のとおりです。

手元のメモリ (VRAM またはユニファイドメモリ)動かせる規模の目安例 (Ollama の配布サイズ)
8GB2〜4B 級gemma4:e2b 4.3〜4.6GB (qat・q4_K_M)
16GB12B 級までgemma4:12b 7.7〜8.0GB
24GB27〜31B 級の 4 ビット版qwen3.8:27b 18GB、muse-glimmer:30b 18GB、gemma4:31b 19〜20GB
32GB同上を長いコンテキストで(上記と同じ)
64GB 以上30B 級の bf16 も視野muse-glimmer:30b-bf16-dflash 59GB、qwen3.8:27b-mtp-bf16 56GB

Meta は Muse Glimmer のモデルカードで、24GB・32GB・64GB の機材を想定したサイズを示しています (Muse Glimmer のモデルカード)。4 ビット前後に量子化した言語モデル部分は 20GB 未満で、24GB または 32GB の中に KV キャッシュや画像の部品まで収まるとしています。量子化による精度の低下は、15 種のベンチマークの平均で 32GB 向けが 0.2%、24GB 向けが 1.0% です。いずれも Meta 自身の測定です。

Apple Silicon の Mac はユニファイドメモリを OS やブラウザと共有するため、上の表で 1 行下のメモリ量を選ぶと余裕が出ます。GPU が無い場合も llama.cpp は CPU だけで推論できますが、応答が遅くなるため、動作の確認や待ち時間を許容できる一括処理に向きます。

おすすめモデル比較【2026 年 10 月時点】

手元の機材で動かせる大きさのモデルを、ライセンスと用途で並べます。値は各モデルカードと Ollama のタグ一覧で 2026 年 10 月 5 日に確認したものです。

モデル開発元パラメータライセンスOllama の 4 ビット版コンテキスト向く用途
Gemma 4 12BGoogle約 12BApache 2.07.7〜8.0GB256K16GB 機での汎用、画像入力
Gemma 4 31BGoogle約 31BApache 2.019〜20GB256K24GB 機での汎用
Qwen3.8-27BAlibaba約 27.8BApache 2.018GB256Kコーディング、エージェント
Muse Glimmer 30BMeta約 29.6BApache 2.018GB128Kツール呼び出し、手元で動かすエージェント
MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9BXiaomi約 9.4BMIT配布無し—コーディング・エージェントの研究
ELYZA-Thinking-1.0-llm-jp-4-32b-a3bELYZA (LLM-jp-4 ベース)約 32.1B (推論時に使うのは約 3.8B)Apache 2.0配布無し64K (65,536)日本語の推論

Ollama の公式ライブラリに配布の無い 2 本は重みのサイズで見ます。MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9B は bf16 で約 19GB、ELYZA-Thinking の 32b-a3b は 4 ビットに換算して約 16GB です。MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9B のコンテキスト長は、モデルカードに記載がありません。出典は Gemma 4 12B、Qwen3.8-27B、Muse Glimmer、MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9B、ELYZA-Thinking の各モデルカードと、Ollama のモデル一覧 です。

16GB クラスなら、最初の 1 本は Gemma 4 12B が扱いやすい候補です (Gemma 4 12B の解説)。24GB クラスなら Qwen3.8-27B と Muse Glimmer 30B が候補になります。この 2 本を自社サーバーに置けるかで比べた記事が オープンウェイト 3 モデル比較 です。

日本語で選ぶなら

Google は Gemma 4 を 140 以上の言語で事前学習し、35 以上の言語をサポートするとしています。Meta は Muse Glimmer を 100 以上の言語のデータで学習したとしています。いずれも対応言語の数で、日本語の文章として自然かどうかは別に確かめる必要があります。

日本語を主に扱うなら、国産の選択肢として ELYZA-Thinking があります。国立情報学研究所 (NII) が開発した LLM-jp-4 をベースに ELYZA が追加学習したモデルで、Apache 2.0 で公開されています。公式の量子化版は無く、モデルカードの起動例は vLLM です (ELYZA LLM-jp-4 の解説)。

コーディングで選ぶなら

Qwen3.8 はコーディングとエージェント用途を前面に出したモデルで、Ollama のページにも Claude Code・OpenCode から起動するコマンドが載っています。Muse Glimmer のモデルカードも、SWE-Bench などのタスク完遂や、ツール呼び出しが失敗したときの再試行を設計目標に挙げています。

9B 級では、Xiaomi の MiMo-V2.6-Distill-Qwen-9B があります。Xiaomi の技術報告では、元の Qwen3.5-9B と比べて SWE Verified が 60.0 から 61.1、SWE Pro が 32.0 から 44.6 に上がったとされています。いずれも Xiaomi 自身の測定です (MiMo-V2.6 の解説)。

手元に置けない大型モデル

重みが公開されていても、手元では動かせないモデルがあります。DeepSeek-V4-Pro (1.7 兆パラメータ)、Qwen3.8-Max の重み (Hugging Face の Qwen/Qwen3.8-2.4T-A95B、約 2.4 兆)、MiMo-V2.6-Pro (1.02 兆) は、4 ビットに量子化しても約 500GB〜1.2TB のメモリが要り、データセンター向けの構成が前提です。「オープンウェイト」という言葉だけで手元に置けると判断しないでください (Qwen3.8-Max の解説)。

ツールの選び方|Ollama・LM Studio・llama.cpp

観点OllamaLM Studiollama.cpp
主な操作コマンドとアプリGUI (CLI の lms もある)コマンド
向く人開発者、API から呼びたい人コマンドを使わずに試したい人細かく調整したい人、組み込みたい人
APIOpenAI 互換 (localhost:11434/v1)OpenAI 互換 (localhost:1234/v1)OpenAI 互換サーバー (llama serve)
対応環境macOS 14 以上・Windows 10 22H2 以上・LinuxApple Silicon の macOS 14 以上・Windows・LinuxmacOS・Windows・Linux (ビルド済み版あり)
クラウドのモデル選べる (無効化できる)有料プランで選べる無い
ライセンス・料金MIT独自の利用規約 (個人・社内の業務での利用を許諾)。ローカル実行は無料MIT

出典は Ollama の macOS・Windows の要件、LM Studio のシステム要件・料金・利用規約、llama.cpp の README です。LM Studio は Intel の Mac に対応していません。x64 の Windows では AVX2 対応の CPU が必須で、16GB 以上のメモリと 4GB 以上の VRAM が推奨されています。

迷ったら Ollama から始めるのが早道です。モデルの取得から手元で API を呼べる状態までコマンド 1 つで済み、後から Claude Code などのツールにもつなげられます。量子化の種類を切り替えて比べたい場合は LM Studio が向いています。

FIXITFIXIT

Ollama で動かしてるなら、全部手元で処理してるってことだよね?

KanameKaname

そうとは限りません。Ollama には、クラウドで動くモデルもあります。

FIXITFIXIT

えっ、同じアプリから選べちゃうの?

KanameKaname

はい。業務で使うなら、最初にクラウド機能を切っておきます。

ローカル LLM の始め方 (構築手順)

Ollama で動かす

  1. Ollama の公式サイト から macOS・Windows・Linux 版を入れます
  2. モデルを取得して対話を始めます。初回は重みのダウンロードが走ります
  3. 別のアプリから呼ぶ場合は、OpenAI 互換の API を使います
  4. 長い文書やコーディングに使う場合は、アプリの設定画面のスライダーでコンテキスト長を 64K に上げます。アプリを使わない場合 (Linux のサーバーなど) は、環境変数を付けて ollama serve を起動します
# 2. 取得して対話する (16GB クラスの例)
ollama run gemma4:12b
 
# 3. OpenAI 互換 API を呼ぶ (既定は localhost:11434)
curl http://localhost:11434/v1/chat/completions \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{"model": "gemma4:12b", "messages": [{"role": "user", "content": "この議事録を 3 行で要約して"}]}'
 
# 4. アプリを使わない場合は、コンテキスト長を 64K にして起動し、割り当てを確かめる
OLLAMA_CONTEXT_LENGTH=64000 ollama serve
ollama ps

ollama ps の PROCESSOR 列が 100% GPU なら、モデルがすべて GPU に載っています (Ollama の Context length)。モデルの一部が CPU に割り当てられていると応答が遅くなるため、モデルを小さくするか、コンテキスト長を下げます。既存の OpenAI 向けのクライアントは、接続先を差し替えるだけで使えます (OpenAI compatibility)。

LM Studio で動かす

アプリの検索画面でモデルを探し、量子化の種類を選んでダウンロードすると、そのままチャットできます。開発者向けの画面からローカルサーバーを起動すると、OpenAI 互換の API が http://localhost:1234/v1 で使えます。コマンドで操作する場合は lms を使います (LM Studio の CLI)。

lms get <モデル名>
lms load <モデル名>
lms server start

llama.cpp で動かす

llama.cpp は、LM Studio の内部でも MLX と並んで使われている推論エンジンです。README の手順では、インストール後に Hugging Face の GGUF (llama.cpp 系のツールが使う重みの形式) を直接指定して動かせます。例のモデルは README のものです。

# Hugging Face の GGUF を取得して対話する
llama cli -hf ggml-org/Qwen3.5-0.8B-GGUF
 
# OpenAI 互換の API サーバーとして起動する
llama serve -hf ggml-org/Qwen3.5-0.8B-GGUF

コーディングに使う|Claude Code から手元のモデルを呼ぶ

Ollama 経由で、Claude Code などのエージェントを手元のモデルにつなげられます。Ollama の Claude Code 連携ページ の起動コマンドに、qwen3.8 のライブラリページ にあるモデル指定を付けると次のとおりです。

# Claude Code を Ollama の qwen3.8 につないで起動する
ollama launch claude --model qwen3.8

同じページは、ローカルのモデルには 64K 以上のコンテキストを推奨しています。24GiB 未満の VRAM では既定値が 4K なので、設定を変えずに起動するとリポジトリの文脈が入りきりません。27B 級なら重みだけで 18GB あり、64K の KV キャッシュが加わると 24GB の機材では余裕が小さくなります。Codex CLI や OpenCode も ollama launch で起動できます。

任せやすいのは、テストケースの下書き、既存コードの読解と要約、決まったルールでの書き換え (命名の統一、型注釈の追加など) のように範囲がはっきりした作業です。複数のファイルにまたがる設計の判断や長時間の自律作業は、クラウドの上位モデルのほうが安定しやすい傾向があります。普段のリポジトリはクラウドのモデルで進め、外に出せないリポジトリだけをローカルのモデルに切り替える使い分けが現実的です。IDE から使う場合は Copilot for JetBrains の Ollama 対応 も選択肢になります。

補足

推論先を手元のモデルにしても、ツールの通信 (更新の確認や、Ollama 経由の Web 検索など) が無くなるとは限りません。Ollama の Web 検索はクラウド機能の一部で、OLLAMA_NO_CLOUD=1 を設定すると使えなくなります。閉域ネットワークで使う場合は、使うツールのドキュメントで通信先と、それを止める設定を確認してください。

業務で使う前に確かめること

情報システム担当の方が社内でローカル LLM を使う前に確認したい項目です。「ローカルで動かしているから安全」と言い切る前に、1 つずつ確かめます。

確認項目確認すること根拠・確認方法
クラウドのモデルを使っていないかOllama は OLLAMA_NO_CLOUD=1 で無効化し、ログの Ollama cloud disabled: true を確かめるOllama の FAQ
LM Studio の通信モデルの検索・ダウンロード、ランタイムの取得、更新確認は通信する。手元のモデルとのチャット内容は端末を出ない (Bionic のクラウドモデルと Web 検索は除く)LM Studio の Offline Operation
待ち受けアドレスOllama の既定は 127.0.0.1:11434。OLLAMA_HOST で外部に開く場合は、誰が呼べるかを別途制御するOllama の FAQ
モデルのライセンスApache 2.0・MIT か、収益や利用者数のしきい値を持つ独自ライセンスか各モデルカードの License 欄。独自ライセンスの例は MiMo-V2.6 の記事 の比較表
重みの入手元開発元の公式リポジトリか、第三者が量子化した版かHugging Face の配布元アカウント
保存場所とログモデルとログがどこに残るか (Ollama の macOS 版は、モデルと設定が ~/.ollama、ログが ~/.ollama/logs)Ollama の macOS
社内規程・契約顧客との NDA や情報管理規程で、AI への入力がどう扱われているか社内の規程。利用範囲の整理は 生成 AI 利用ガイドラインの作り方

Ollama の FAQ は、手元で動かしている場合はプロンプトやデータを Ollama 側が見ないこと、クラウドのモデルでは提供のために処理するが保存・記録・学習はしないことを書き分けています。LM Studio も、有料のクラウド推論 (Bionic+) は米国でホストされ、データを保持しない (ZDR) としています。社内で「外に出さない」と説明するなら、手元の推論とクラウドの推論のどちらを使っているかまで明記してください。

FIXITFIXIT

じゃあ情シスとしては、何を最初に決めればいいの?

KanameKaname

待ち受けを 127.0.0.1 に保つ設定です。クラウドを切るのは前提です。

FIXITFIXIT

それを各自の PC で守ってもらうってこと?

KanameKaname

いえ、各自に任せると設定がばらつきます。手順にしておくと、運用が回ります。

クラウドの LLM との使い分けと費用

ローカル LLM では、モデルの利用料が無料でも、機材と電気代は誰かが払います。費用は、機材を持つか、GPU を借りるか、クラウドの API を使うかで分けて考えます。

使い方費用の構造向く場面
手元の PC で動かす機材の購入費 (既にあれば追加費用は小さい)個人の開発、少人数での試行
社内サーバーに置く機材・設置・保守の人手外に出せないデータを複数人で処理する
クラウドの GPU を借りる時間単価 × 稼働時間一時的な検証、大きいモデルを短時間だけ使う
クラウドの LLM の API使った量に応じた従量課金外に出してよいデータ、最上位の品質が要る処理

48GB クラスの GPU を借りた実測では、1 時間あたり 1 ドル前後でした。この単価で計算すると、1 日 8 時間の稼働で月 240 ドル前後、24 時間動かし続けると月 700 ドルを超えます (オープンウェイト 3 モデル比較、Qwen-Image の LoRA 学習の記録)。ローカルが安くなるのは、既にある機材で足りる場合か、処理量が多く従量課金の費用が機材費を上回る場合です。API の料金を下げる手順は LLM コスト最適化 で扱っています。

FIXIT の検証から|手元の処理とクラウド GPU の実測

FIXIT では、手元での文字起こしと、クラウドの GPU を借りた推論の検証を記事にしてきました。初回の取得時間と、GPU を借りたときの費用の考え方は、その実測に基づいています。

  • 40 分の商談録画を、音声を外部へ送らずに文字起こししました。M2・メモリ 24GB の Mac で、39 分 58 秒の音声の処理は 3 分 50 秒でした。初回はモデル (1.6GB) の取得に約 12 分かかっています (ローカル Whisper の実装記録)
  • クラウドの GPU で画像生成のモデルを動かした検証では、34.74GB のイメージをキャッシュの無いマシンへ配る初回の起動に 12.1 分かかりました。ワーカーが起動済みの状態では、待ち時間は 792 ミリ秒でした (RunPod の自前ワーカーの記録)

どちらの検証でも、待ち時間と費用を決めたのはモデルの性能ではなく、初回の取得時間と常時起動の有無でした。ローカル LLM を業務に入れるときも、ベンチマークより先に、どの機材で動かし、いつ起動し、誰が更新するかを決めてください。

まとめ

論点押さえること
定義重みを手元に置き、推論まで自分の機材で完結させる使い方
必要スペックパラメータ数 × 精度のバイト数。4 ビットなら 16GB で 12B 級、24GB で 30B 級
コンテキストOllama は 24GiB 未満で既定 4K。コーディングには 64K 以上
モデル16GB なら Gemma 4 12B、24GB なら Qwen3.8-27B か Muse Glimmer 30B
ツールまず Ollama。GUI で比べるなら LM Studio、細かく調整するなら llama.cpp
業務で使う前にクラウド機能の無効化、待ち受けアドレス、ライセンス、重みの入手元

最初の一歩は、手元のメモリ量を確かめ、その大きさに合うモデルを 1 本だけ Ollama で動かしてみることです。そのうえで、外に出せないデータを使う処理を 1 つ選び、クラウドの LLM と同じ指示で比べてください。出力の差が小さければその処理をローカルに移し、差が大きければクラウドを使い続けます。この順番なら、機材を買ってから使い道に困ることを避けられます。

社内文書を参照する AI エージェントや RAG を、モデルの選定から評価の仕組みまで含めて作りたい場合は、AI エージェント開発 でご相談いただけます。個別のご相談は お問い合わせ からどうぞ。