プロジェクト概要
私たち FIXIT が自社で運営する「チョレっと卓球ジム津田沼店」を題材に、卓球場の運営そのものを自分たちの技術でデジタル化した自社事例です。難しく言えば卓球場の DX ですが、やっていることはシンプルです。電話と手作業に頼っていた予約をネットで完結する形にし、コーチがいない時間も練習できる卓球マシンを自分たちで作りました。
私たちは AI 駆動開発のクリエイティブスタジオとして、ふだんはクライアントのプロダクトを開発しています。その技術を、自社で運営する卓球ジムの現場にも持ち込みました。市販のサービスを並べるのではなく、自分たちの現場に合うものを自分たちで作る。この事例は、その考え方を卓球という畑違いの現場で試した記録でもあります。
卓球ジムの運営で起きていた課題
卓球場や卓球教室の運営には、業種を問わず多くの店舗が抱える「アナログのままの業務」がついて回ります。実際に店を回しながら見えてきた課題は、次のとおりです。
- 予約や問い合わせが電話中心で、対応のたびに手が止まり、受けた内容も個人に溜まりやすい
- 会員の管理や月謝のやり取りが手作業になりがちで、記録として残りにくい
- コーチがいない時間帯は、練習の質を保つのが難しい
- 卓球場は設備投資が重く、利益率も高くないと言われる業態で、ムダな手間は経営に直結する
これらはどれも、卓球が好きという気持ちだけでは解決しない、運営の地味な部分です。日々はそれでも回ってしまうため後回しにされがちですが、手間が積もるほどコーチは指導以外の作業に時間を取られます。「卓球を始めやすく、続けやすい場をつくる」という事業の狙いと、現場の手作業がぶつかる。そこが出発点でした。
アプローチ 1: 電話だけだった予約を、スマホとネットで完結に
最初に取り組んだのは、予約と受付のデジタル化です。電話だけに頼っていた予約を、スマホやネットから完結できる形に変えました。あわせて、会員の登録や支払いまでを 1 つにまとめ、現場の事務作業を減らしています。
ねらいは、華やかな機能を足すことではありません。受付の手間を減らし、コーチが指導に集中できる時間を増やすことです。お客さまにとっては、思い立ったときにスマホから空き状況を見て予約できる手軽さが生まれます。店にとっては、誰がいつ予約したかが記録として残り、後から追える状態になります。
要点
卓球場の予約で本当に必要なのは、多機能なシステムではなく「電話に出られなくても予約を取りこぼさない」ことです。自前で用意したからこそ、自分たちの受付の流れに合わせて整えられました。汎用の仕組みに業務を合わせるのではなく、業務に仕組みを合わせられる。これが内製の手応えでした。
無人で運営する卓球場も業界では広がっていますが、チョレっと卓球ジムはコーチのいる有人のスクール型です。だからこそ、人がやるべき指導や接客は人に残し、機械に任せられる受付や記録はデジタルに寄せる。この線引きを意識して設計しました。
アプローチ 2: コーチがいない時間も練習できる、自作の卓球マシン「チョレボット」
2 つめの柱が、練習の現場そのものをアップデートする取り組みです。私たちはオリジナルの卓球マシン「チョレボット」を、ハードウェアの設計から制御するソフトまで自分たちで開発しました。市販のマシンを買うのではなく、自分たちで作るという選択です。
チョレボットは、球種・回転・コース・テンポを柔軟に調整できる球出しマシンです。コーチがいない時間でも、利用者が自分の課題に合わせて反復練習に取り組めます。現場で「ここをこう変えたい」と気づけば、作っているのも自分たちなので、その場で手を入れていけます。
要点
卓球マシンを自作する、と言うと驚かれます。ですが AI 駆動開発で培ったものづくりの進め方は、ソフトだけでなくハードを伴う機材にも応用できます。買ってきた箱では変えられない「球の出し方そのもの」を、現場の声に合わせて調整できる。これが、自分たちで作る一番の価値でした。
チョレボットは現在、津田沼店で試験的に導入し、操作性や出球の質を運用しながら磨いている段階です。市販のマシンと混同されがちですが、これは自社で設計・開発したオリジナル機材です。卓球業界の DX を、ソフトの中だけでなく現場の機材からも進める。その実験台でもあります。
アプローチ 3: 練習を「見える化」していく
3 つめは、練習を数字や映像で見えるようにしていく取り組みです。これは現在進行中の方向性で、チョレボットの開発を起点に育てています。
具体的には、利用者ごとの練習の履歴を残せるようにすることや、映像との連動で自分の動きを振り返れるようにすることを見据えています。「なんとなく上手くなった気がする」を、できるだけ手がかりのある形に変えていく。卓球の上達はもちろん本人の努力次第ですが、現場のデータを活かせる余地は大きいと考えています。
ここで大事にしているのは、誇張しないことです。AI で必ず上手くなる、といった断定はしません。あくまで、現場で取れるデータを少しずつ活かし、練習と運営の質を地道に高めていく。その積み重ねを技術で支える、という姿勢です。
なぜ「自分たちで作る」のか
この事例で一番伝えたいのは、市販のサービスをそろえるのではなく、自前で作るという選択そのものです。卓球場の運営には、予約・会員・練習・機材と、業態ならではの細かな事情があります。汎用の道具を寄せ集めると、どうしても隙間が手作業で埋まり、現場に負担が残ります。
自分たちで作れば、業務の急所にだけ機能を集中させられます。そして何より、運用しながら「ここを変えたい」と思った点を、自分たちの判断ですぐに直せます。これは外部のパッケージに頼り切っていてはできないことです。
要点
自分たちで作る価値は、最初に完璧をつくることではありません。小さく始めて、現場の声に合わせて磨き込み続けられることにあります。自社で運営し、自社で開発しているからこそ、業務と開発のあいだに余計な伝言ゲームがなく、改善のサイクルを最短で回せます。
加えて、私たちは AI 駆動開発のクリエイティブスタジオです。AI 駆動開発を取り入れることで、こうした内製を、現実的な工数とスピードで進められます。かつては「自前でつくるのは高くつく」と敬遠されがちだった内製を、選びやすい選択肢にできるのが、いまの開発の強みです。
成果
この取り組みは、自社の卓球ジムを題材に、自前の技術で運営をどこまで良くできるかを実証するものでした。定量的な効果測定を主目的にしたわけではありませんが、運用を通じて確かめられた変化を整理します。
- 電話と手作業に頼っていた予約・受付を、スマホとネットで完結できる形に変えられた
- 受付や記録の手間が減り、コーチが指導に向き合える時間を増やしやすくなった
- コーチがいない時間でも、自作の卓球マシンで反復練習に取り組める環境ができた
- 機材から運営まで自分たちで作っているため、現場の気づきをそのまま改善に反映できる体制になった
- 卓球という畑違いの現場でも、内製と AI 駆動開発の進め方が通用することを確かめられた
数字で語れる成果は、運用を重ねながら今後さらに積み上げていく前提です。それ以上に大きいのは、卓球場の運営という現場の業務を、自分たちの技術で設計し直せたことにあります。
学びと再利用可能なナレッジ
要点
業務を内製で良くするときに成否を分けるのは、「何を自前でつくり、何はつくらないか」の見極めです。今回は予約・受付のデジタル化と、練習を支える機材の内製に絞り、人がやるべき指導や接客はそのまま人に残しました。急所を外さないことが、小さく始めて長く使える内製の条件です。
機械に任せる部分と、人に残す部分を分ける
卓球ジムの価値は、コーチの指導や場の雰囲気にあります。今回はそこには手をつけず、受付・記録・反復練習という「機械が得意な部分」をデジタルと自作機材に寄せました。何を変えないかを先に決めることが、現場の納得につながります。
ソフトだけでなくハードも自分たちで
予約のようなソフトの仕組みだけでなく、卓球マシンというハードまで自分たちで作りました。ものづくりの進め方は、対象がソフトでもハードでも共通します。買ってきた道具では届かない部分まで踏み込めることが、自社で運営し自社で開発する強みになりました。
畑違いの現場でも、内製の型は通用する
卓球という、私たちの本業から見れば畑違いの現場でも、「小さく作って運用しながら磨く」という内製の型はそのまま通用しました。業態が変わっても、現場の急所を押さえて自分たちで作る進め方は再現できる。これは他のスポーツ施設や店舗運営にも応用できるナレッジです。
ありがちな落とし穴
注意
店舗の業務を内製するとき最も多い失敗は、最初からすべてを盛り込もうとして、完成しないまま頓挫することです。原因は「どうせ自前でつくるなら全部入れたい」という欲張りにあります。現場の急所に機能を絞り、小さく動かしてから広げる進め方が、内製を成功させる近道です。
流行りの言葉に引きずられる
「無人化」や「AI」といった言葉が先に立つと、自分たちの現場に合わない仕組みを入れてしまいます。チョレっと卓球ジムは有人のスクールであり、無人化が目的ではありません。流行りではなく、自分たちの現場の課題から出発することが大切です。
効果を誇張して語る
技術を入れたことを大きく見せたくなりますが、誇張は信頼を損ないます。今回も、練習データの活用は道半ばであり、AI で必ず上達するとは言いません。できていることと、これからのことを正直に分けて語る姿勢が、長く信頼される条件です。
つくって終わりにする
内製は、つくった瞬間がゴールではありません。現場の運用に合わせて直し続けて初めて、業務に根づきます。改善を続けられる体制まで含めて設計することが、自前の仕組みを生かす条件です。業務そのものの DX を伴走でご一緒する 業務 DX 伴走支援 でも、この「育て続ける」考え方を共通の土台にしています。
よくある質問
Q. 市販の予約システムや卓球マシンではダメなのですか?
A. 一般的な用途なら市販の仕組みで十分なことも多いです。一方で、自分たちの受付の流れや練習のさせ方にこだわると、汎用の道具では隙間が手作業で残りやすくなります。要件が現場に固有なほど、自前で作る方がかえって運用が軽くなることがあります。
Q. 内製はやはり費用が高くつきませんか?
A. かつてはそのとおりでした。ただ AI 駆動開発を取り入れることで、内製の工数とスピードは大きく改善しています。急所に機能を絞り、小さく始めて運用しながら磨き込めば、現実的な費用で自前の仕組みを持てます。進め方は AI 駆動開発 と共通です。
Q. 卓球の知識がない開発会社でも、こうした現場のシステムは作れますか?
A. 大切なのは、現場に入って課題の急所を見極めることです。私たちは自社で卓球ジムを運営しているため、運営する側の視点で作れました。畑違いの現場でも、当事者と近い距離で作れば、業態特有の要件に踏み込めます。
Q. 他の卓球場やスポーツ施設にも応用できますか?
A. はい。今回の「予約のデジタル化」「現場機材の内製」「データの活用」という組み立ては、業態を問わず応用できます。まずはどこが一番手間かをうかがい、小さく試せる範囲を一緒に見極めるところからお手伝いします。
まとめ
この事例の本質は、卓球場の運営を、市販の道具に合わせるのではなく、自前の技術で作り直したことにあります。電話頼みだった予約をネットで完結する形にし、コーチがいない時間も練習できる卓球マシンをハードから内製し、練習を見える化する取り組みを育てています。そして自社運営だからこそ、運用しながら改善を続けられる体制まで含めて組み上げました。
業態が特殊で市販の道具に合わない、現場の業務を自分たちの仕組みで作り直したい。そうした課題に、私たちは AI 駆動開発のクリエイティブスタジオとして応えます。小さく始める内製は MVP・新規プロダクト開発 として、業務そのものの DX は 業務 DX 伴走支援 としてご一緒できます。自社店舗を内製で DX した事例は ハンドメイド委託販売店の店舗 DX でも紹介しています。まずは 無料相談 からお気軽にご連絡ください。

