結論|重みは出たが、動かす条件は公式に書かれていない
Reflection AI が 2026 年 10 月 5 日に発表した Beam は、同社初のオープンウェイトモデルです。公式ブログは、10 月中に Apache 2.0 で重みを出すと予告していました。10 月 16 日付の公式ブログで、重みの公開が告げられています。
先に結論を書くと、確認できた点と確認できなかった点は次のとおりです。
- 重みは Hugging Face で入手できる。形式は BF16・FP8・NVFP4 の 3 つで、投機的デコード用のドラフトモデルも出ている
- 公式ブログは Apache 2.0 と書いている。ただしコレクションの一覧ページでは、リポジトリごとのライセンス表示を確認できなかった
- 動かすのに必要なハードウェアは、公式ブログに書かれていない
- ベンチマークは Reflection 自身の掲載値で、第三者の検証は確認できていない
オープンウェイトの一般的な考え方は、オープンウェイト 3 モデル比較で整理しています。本記事は Beam に絞り、公式の記載と未記載を分けて、試すかどうかを決める材料を渡します。日付や数字は 2026 年 10 月 18 日に公式ページで確認したものです。なお当社は Beam を動かして検証していません。
Beam の概要
公式の発表ページに書かれている仕様を表にまとめます。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 位置づけ | Reflection 初のオープンウェイトモデル。コーディング・推論・エージェント向け |
| 規模 | 総パラメータ 501B、1 トークンあたり 23B が動く |
| 構造 | Sparse Mixture-of-Experts。52 層 |
| 文脈長 | 中間学習で実効 1M トークンまで拡張。強化学習時の最大は 256K トークン |
| 入出力 | テキストのみ。ほかのモダリティもテキストで表せば扱える |
| 推論量の調整 | reasoning effort パラメータで、応答の長さと性能のバランスを変えられる |
| 事前学習 | 23.8T トークン。NVIDIA GB300 NVL72 の 6,144 GPU で 4 週間弱 |
Sparse MoE は、モデル全体のパラメータのうち一部の専門家だけを、トークンごとに使う構造です。23B という数字は、1 トークンの計算に使う量を指します。後で触れるとおり、メモリに置く量とは別の話です。
FIXIT501B のモデルで、動くのは 23B ってどういうこと?
Tsumiki1 トークンごとに使う専門家が一部、ということです。計算の量はそちらで決まります。
FIXITじゃあ、小さい GPU でも動くってこと?
Tsumikiそこは別です。公式に必要な構成は書かれていません。後の節で見ます。
発表から公開までの流れ
公式ページに書かれた日付を並べます。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026 年 10 月 5 日 | Beam を発表。当時は最終の red-teaming と評価の段階で、早期アクセスは待機リスト制。重み、技術レポート、モデルカードは後日と書かれていた |
| 2026 年 10 月 8 日 | 発表ページのベンチマークの数字を更新 |
| 2026 年 10 月 16 日 | 「Beam is now available」を公開。重みを Hugging Face で Apache 2.0 として出すと書いている |
発表直後に書かれた解説記事には、「重みは未公開で、自社では動かせない」と書いたものがあります。この前提は 10 月 16 日で変わりました。古い記事を読むときは、書かれた日付を確認してください。
公開されたもの
Hugging Face の reflection 組織にある Beam 1.0 のコレクションには、10 月 18 日の確認時点で 4 つのリポジトリがありました。
| リポジトリ | 一覧での表示サイズ | 内容 |
|---|---|---|
| Beam-1.0-501B-A23B | 501B | BF16 の重み |
| Beam-1.0-501B-A23B-FP8 | 501B | FP8 の重み |
| Beam-1.0-501B-A23B-NVFP4 | 255B | NVFP4 の重み |
| Beam-1.0-501B-A23B-DFlash2 | 2B | 投機的デコード用のドラフトモデル |
形式の対応は、公式ブログが「BF16・FP8・NVFP4 の重みと、投機的デコード用のドラフトモデル」と書いている内容と、リポジトリ名から読み取ったものです。NVFP4 の一覧上のサイズが 255B と表示されている理由は、公式に説明がなく、本記事では解釈しません。ドラフトモデルについても、ブログに詳細は書かれていません。
公式ブログは、最適化した形式と融合カーネルによってメモリ需要が下がり、トークン生成が速くなるとも書いています。具体的な削減量や必要な GPU の数は、書かれていません。
ライセンスについては、公式ブログが「Hugging Face 上で Apache 2.0 のライセンスの下で公開する」と述べています。一方で、コレクションの一覧ページには、ライセンスの表示が確認できませんでした。取得結果に出なかっただけの可能性もあるので、各モデルカードで確かめてください。
ベンチマークの読み方
発表ページに載っている Beam の数字を、主なものだけ抜き出します。
| ベンチマーク | Beam の数字 |
|---|---|
| SWE-bench Verified | 80.9 |
| Terminal Bench v2.1 | 80.1 |
| SWE Bench Pro v1 | 65.5 |
| AIME 2026 | 97.8 |
| GPQA Diamond | 90.5 |
| HLE (ツールなし) | 36.2 |
| MCP Atlas | 78.7 |
| LongBench v2 | 65.5 |
読むときの注意点は 3 つあります。
- これらは Reflection 自身が掲載した数字で、10 月 8 日に更新されています。第三者の検証は、当社が確認した範囲では見つかっていません
- 公式ページ自身が、素の能力では Kimi K3 が上だと認めています。Beam の売りは、高度な推論ベンチマークで GLM-5.2 と並ぶ性能を、推論の計算量 3〜4 分の 1 で出す効率だと書かれています
- ベンチマークの条件(推論量の設定、ツールの有無など)は、元のページで確かめてください。ここに並べた数字を、手元の環境で再現できるとは限りません
Kimi K3 の位置づけはKimi K3 の解説記事で整理しています。ベンチマークは候補を絞る材料にとどめ、採用の根拠は自社のタスクで測った結果に置くのが安全です。
自社で動かせるか
公式に書かれていないこと
10 月 16 日の公式ブログには、最小のハードウェア要件が書かれていません。書かれているのは次の 2 点です。
- 最適化した形式と融合カーネルで、メモリ需要が下がり、トークン生成が速くなる
- Reflection 自身の本番の推論は NVIDIA Blackwell 基盤で動いている。Dell と HPE がオンプレミスとエアギャップ環境の導入を提供している
つまり、「何枚の GPU があれば動くか」は、公式の記載からは分かりません。
重みの置き場所の下限を概算する
公式の要件ではありませんが、重みを置くのに要るメモリの下限は、パラメータ数から概算できます。考え方は先に書いた記事と同じで、パラメータ数に 1 パラメータあたりのバイト数を掛けます。
| 精度 | 1 パラメータあたり | 501B の重みの下限(当社の概算) |
|---|---|---|
| BF16 | 2 バイト | 約 1TB |
| FP8 | 1 バイト | 約 500GB |
| 4 ビット | 0.5 バイト | 約 250GB |
この表は当社の計算で、公式の要件ではありません。KV キャッシュと実行時のオーバーヘッドが別に要るので、実際に必要な量はこれより大きくなります。1M トークンの文脈を使うなら、KV キャッシュの分も見込みます。
MoE では、1 トークンで使う専門家が一部でも、通常はすべての専門家の重みをメモリに置いておく必要があります。23B という数字から、23B のモデル並みのメモリで動くと考えてはいけません。
500GB から 1TB の重みを置くには、複数枚の GPU を前提にした設備が要ります。どの構成で動くかは、モデルカードや Reflection への問い合わせで確かめるしかありません。
確認する項目
自社で試す前に、次の項目を確認します。
- 取得するリポジトリのモデルカードに書かれたライセンスと、使い方の注意
- 推論エンジンの対応状況。当社が確認した公式ブログの範囲では、動かせるエンジンの記載を見つけられませんでした
- 使う形式(BF16・FP8・NVFP4)と、自社の GPU の世代が対応しているか
- 社内でホストするのか、外部のホスティング事業者を使うのか
判断の軸
Beam を試すかどうかは、次の順で決めます。
- 重みが手に入るか。10 月 16 日以降は、Hugging Face で取得できます
- 使いたい形式のモデルカードで、ライセンスと利用条件が自社の用途に合うか
- 置ける設備があるか。500GB 以上の重みを載せる構成を、用意できるか、借りられるか
- 自社のタスクで測って、いま使っているモデルに対して理由が立つか
商用 API で足りていて、データを外に出せない制約もないなら、急いで置き換える動機は薄いはずです。Apache 2.0 で重みが出たことの価値は、提供元が 1 社に固定されない点や、データを外に出さずに済む点にあります。安く使えるという話とは別です。
FIXIT結局、今すぐ試したほうがいいの?
Tsumiki置ける設備と、置く理由があれば試す価値があります。どちらも無いなら、様子見で十分です。
FIXIT の運用 — モデル選定の見方
当社は Beam を動かして検証していません。導入実績を示す段階でもありません。本記事の内容は、公式の発表と Hugging Face のコレクションの記載を読んだ範囲です。
モデルの選定を相談されたときは、ベンチマークの順位より先に、次の 3 つを確認します。どこに置くか、誰が運用するか、いま使っているモデルから何を変えたいか、です。オープンウェイトのモデルは、重みが手に入っても、動かす設備と運用の手間は残ります。
AI 開発ツールを組織に定着させる支援は、AI 開発ツール定着支援で扱っています。
まとめ
| 論点 | 確認できたこと |
|---|---|
| 重みの公開 | 2026 年 10 月 16 日に BF16・FP8・NVFP4 とドラフトモデルが公開された |
| ライセンス | 公式ブログは Apache 2.0 と記載。リポジトリごとの表示は取得前にモデルカードで確認する |
| 規模 | 総 501B、アクティブ 23B の Sparse MoE。テキストのみ |
| ハードウェア | 公式に要件の記載なし。重みの下限は BF16 で約 1TB、FP8 で約 500GB と概算できる |
| ベンチマーク | Reflection の掲載値。Kimi K3 が上と公式が認めている |
Beam は、Apache 2.0 で重みを公開する、コーディング向けの大型モデルとして注目に値します。ただ、自社に置けるかどうかは、モデルカードと設備の確認で決まります。まずはモデルカードを読み、置く場所を決めてから、自社のタスクで測ってください。
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