Windows Server 2016 の延長サポートは 2027 年 1 月 12 日 (米国時間) に終わります。Microsoft は Windows IT Pro Blog の告知 で、2016 はこの日に最後の月例のセキュリティ更新を受け取り、それ以降はセキュリティ更新・それ以外の更新・不具合の修正・技術サポートが無くなると書いています。

期限が来るのは OS だけではありません。Windows Server 2016 で Web サイトや業務システムを動かしていれば、IIS 10 と .NET Framework 4.6.2 も同じ日に終わります。データベースに SQL Server 2016 を使っていれば、その延長サポートは 2026 年 7 月にすでに終わっています。サーバーの保守を外部に任せていると「期限は保守会社が見ているはず」と考えがちですが、契約の範囲に OS の入れ替えが入っていない、保守会社と連絡が途切れがち、といった事情で、誰も期限を見ていないこともあります。

この記事では、サーバーの保守を外部に任せている担当者と経営者に向けて、期限、ESU の条件と定価、保守会社が動かないときの進め方を整理します。同じ型で PHP の期限を扱った記事は PHP 8.2 のサポート終了 にまとめています。

Windows Server 2016 のサポートは 2027 年 1 月 12 日に終わる

Windows Server 2016 から 2025 のサポート期限

Windows Server 2016 は Microsoft の固定ライフサイクルポリシーに従い、メインストリームサポートの後に延長サポートが続きます。

版提供開始メインストリームサポートの終了延長サポートの終了
20162016 年 10 月 15 日2022 年 1 月 11 日 (終了)2027 年 1 月 12 日
20192018 年 11 月 13 日2024 年 1 月 9 日 (終了)2029 年 1 月 9 日
20222021 年 8 月 18 日2026 年 10 月 13 日 (終了)2031 年 10 月 14 日
20252024 年 11 月 1 日2029 年 11 月 13 日2034 年 11 月 14 日

表は Microsoft Learn のライフサイクルのページ (2016・2019・2022・2025) から転記しました (2026 年 10 月 24 日に確認)。Learn は終了を「翌日の午前 6 時 59 分 59 秒 (米国太平洋時間)」で示すため、表には前日の日付を載せています。Microsoft の日本語の ESU のページ は 2016 の終了を 1 月 11 日と書いていますが、ほかの一次情報と食い違います。計画は、最後の月例の更新が出る 1 月 12 日 (米国時間) を期限として組んでください。

期限を過ぎてもサーバーは止まらない。止まるのは更新とサポート

1 月 12 日を過ぎても、Windows Server 2016 のサーバーがその日に止まるわけではありません。Learn の 2027 年に終了する製品の一覧の冒頭によると、終了後に無くなるのは、新しいセキュリティ更新、セキュリティ以外の更新、無償・有償の支援、オンラインの技術文書の更新です。

問題になるのは、2027 年以降に 2016 に影響する脆弱性が見つかったときです。新しい版に移したサーバーや ESU を買ったサーバーには修正が届きますが、何もしていない 2016 のサーバーには届きません。インターネットに公開している Web サイトやリモートデスクトップのサーバーほど、影響を受けやすいと考えられます。

FIXITFIXIT

サーバーが動いてるなら、年明けも使い続けられるってこと?

ShioriShiori

動きはします。ただ、次に見つかる脆弱性の修正は、2016 には届きません。

OS だけでは終わらない — 同じ日に止まるもの、すでに止まったもの

IIS 10・.NET Framework・WSUS・Windows Defender

2027 年の終了一覧 には、Windows Server 2016 と同じ January 12, 2027 の行に、次の製品が並んでいます。

製品自社のサーバーでの使われ方の例
IIS 10 on Windows Server 2016Web サイトや ASP.NET の業務システムを公開する
.NET Framework 4.6.2ASP.NET の業務システムや社内ツールを動かす
Windows Server Update Services for Windows Server 2016社内のパソコンやサーバーへの更新プログラムを配る
Windows Defender for Windows Server 2016サーバーのウイルス対策
Hyper-V Server 2016仮想化専用のサーバーとして、複数の仮想マシンを動かす

IIS と .NET Framework 4.7〜4.8 は Windows の部品で、入っている OS のライフサイクルに従います (IIS・.NET Framework の FAQ)。デスクトップアプリで .NET と .NET Framework の期限を分けて考える話は、WPF アプリの AI 駆動開発 で扱っています。

SQL Server 2016 は 2026 年 7 月 14 日に延長サポートを終えている

データベースに SQL Server 2016 を使っている場合は、OS より先に期限が来ています。SQL Server 2016 のライフサイクルのページ では、延長サポートは 2026 年 7 月 14 日に終わり、いまは ESU の 1 年目 (2027 年 7 月 13 日まで) です。

SQL Server の ESU のページ は、SQL Server 2016 からは、Azure の仮想マシンに移しても ESU が無料にならないと明記しています。SQL Server 2017 も 2027 年 10 月 12 日に終わります。2017 を移行先に選ぶと、2027 年 10 月にまた同じ作業が要ります。

OS とデータベースを別々の時期に上げ直すと、検証と切り替えを 2 回行うことになります。2016 の OS と SQL Server 2016 の組み合わせなら、両方をまとめて計画に入れてください。

ESU で時間を買えるか — 条件と費用

ESU で届くもの・届かないもの

ESU (拡張セキュリティ更新プログラム) は、延長サポートの終了後もセキュリティ更新を受け取るための有償の仕組みです。Microsoft は 2026 年 2 月 25 日に Windows Server 2016 の ESU を発表 し、8 月 6 日に Azure Arc 経由での一般提供 を始めました。

一般提供の告知によると、届くのは緊急・重要のセキュリティ更新だけで、期間は 2027 年 1 月 12 日から 2030 年 1 月までの最長 3 年です。新機能とセキュリティ以外の修正は含みません。ESU の FAQ は、ESU を最後の手段となる有償の選択肢で長期の解決策ではないとし、製品のライフサイクルを延ばすものでも、技術サポートを含むものでもないと説明しています。

ESU で買えるのは、移行を終えるまでの時間です。3 年の間に、移す先と日付を決めておく必要があります。

FIXITFIXIT

じゃあ ESU を買えば、あと 3 年はそのままでいいの?

ShioriShiori

整理すると、届くのは重要なセキュリティ修正だけです。3 年は移行のための時間です。

買えるのは Software Assurance がある場合

オンプレミスや Azure 以外のクラウドにあるサーバーは、Azure Arc (Azure の外にあるサーバーを Azure から管理する仕組み) にサーバーを接続して ESU を受け取ります。Learn の ESU の準備のページ によると、2016 の ESU は 2026 年 8 月 3 日から Azure ポータルで設定でき、課金は 2027 年 1 月 13 日から始まります。

購入の条件は次のとおりです。

  • 対象は Windows Server 2016 の Standard と Datacenter です
  • ボリュームライセンス (EA・EAS・EES・SCE) か Open Value で、Software Assurance を持っている必要があります
  • SPLA かサーバーサブスクリプションでライセンスしているサーバーは、Software Assurance がなくても購入できます

注意

サーバー機に付属した OEM 版だけで Software Assurance を付けていない場合は、条件を満たさない可能性があります。2016 の OEM 版の扱いを明記した Microsoft の資料は見つかっていないため、ライセンスの証書をそろえ、購入元の販売店に早めに問い合わせてください。

費用の目安 — Azure Arc 経由の定価から計算する

Azure Arc 経由の ESU は、1 コア 1 時間あたりの従量課金です。Azure の価格 API (Azure Retail Prices API) が返す定価は次のとおりでした (2026 年 10 月 24 日に取得、2026 年 8 月 1 日から有効)。

エディション1 コア 1 時間あたり
Standard0.007132 USD / 1.1236 円
Datacenter0.041067 USD / 6.4701 円

円の値も価格 API が返したものです。API に消費税の扱いは書かれていないため、契約時に購入先で確認してください。

数えるコアには最低数があります。Learn の ESU のライセンスのページ によると、物理コアで数える場合は 1 台につき最低 16 コア、仮想コアで数える場合は仮想マシン 1 台につき最低 8 コアです。物理コアで数えた Standard は仮想マシン 2 台まで、Datacenter は台数の制限なく適用できます。

物理サーバー 1 台を Standard の物理 16 コアで数えると、月額約 1 万 3,100 円、年額約 15 万 7,000 円、3 年分で約 47 万円です (Datacenter なら年額約 90 万 7,000 円)。いずれも価格 API の定価からの計算で、為替や契約条件、コア数の数え方で変わります。月額の従量課金なので、移行や廃止を終えたサーバーは途中で止められます。

Arc を使わずにボリュームライセンスで買う ESU の価格は、公開ページにありません。Windows IT Pro Blog の編集注 (2026 年 4 月 21 日) は、価格表を見るか販売店に問い合わせるよう案内しています。

Azure に移せば無料、は 2016 には当てはまらない

「Azure に移せば ESU は無料」という説明は、2016 には当てはまりません。Microsoft は 2026 年 3 月 27 日の Pricing Consistency Update で、2026 年 4 月 1 日以降に提供を始める ESU は、Azure で買っても Azure の外で買っても同じ定価にすると告知しました。同年 7 月 9 日の Azure Arc のブログ は、この対象に Windows Server 2016 を明記しています。「無料」は Windows Server 2012 までの扱いで、Microsoft の ESU の FAQ にもその時代の記述が残っています。

移行先と移し方を選ぶ

移行先の版は 2019・2022・2025 の 3 つで、長く使うなら延長サポートがいちばん長い 2025 が候補です。Windows IT Pro Blog も 2025 への更新を勧めています。

移し方は大きく 4 つに分かれます。どれが合うかは、費用の出どころと条件で比べます。

選択肢主にかかる費用条件・注意
同じサーバーで OS を上げる新しい版のライセンス、作業と検証機器の古さは残る。役割によっては上げられない
新しいサーバーに移す機器、ライセンス、移行と検証並行して動かせるため、切り替えの日を選びやすい
クラウドに移す月々の利用料、移行と検証運用の形が変わる。2016 のまま移しても ESU は有償
ESU でつなぐESU の利用料 (コア数 × 期間)Software Assurance が要る。最長 3 年で、移行は別に必要

クラウドへ移す場合の進め方と、Windows Server・Active Directory を移すときの注意点は、オンプレミスから AWS への移行 にまとめています。サーバーごと AWS へ移す作業は AWS 構築・移行支援 でもご相談いただけます。

2016 から 2025 へは直接上げられる

Learn の Plan your Windows Server upgrade (2026 年 4 月 14 日更新) では、2016 から 2019・2022・2025 のいずれにも、インプレースアップグレード (いまのサーバーの OS をそのまま新しい版に上げる方法) ができるとしています。

同じページは、次の点も挙げています。

  • 上げるたびに、上げる先の版のライセンスが別に要ります
  • クラスターのローリングアップグレードは、1 版ずつしか進められません
  • すべての役割がインプレースアップグレードに対応しているわけではありません
  • 上げる前には、必ずバックアップを取ります

サーバー機のメーカーの保守がいつまで続くかも確認してください。

まず、自社のサーバーで何が動いているかを確認する

発注側の担当者が、自分でサーバーに入って調べる必要はありません。保守会社に次の 5 つを聞けば、状況が分かります。

保守会社に聞く 5 つの質問

  1. Windows Server 2016 のサーバーは何台あり、それぞれに何が載っているか (ファイル共有、業務システム、Web サイト、Active Directory など)
  2. OS・IIS・.NET Framework・SQL Server の版とエディションは何か。ライセンスは OEM 版か、ボリュームライセンスか。Software Assurance はあるか
  3. 載っているアプリ (業務パッケージ・自社開発のシステム) が、新しい OS と新しい SQL Server で動くことを確認したか
  4. 2027 年 1 月 12 日までに、どの版へ、どの方法で、いつ移す計画か。見積もりはいつ出せるか
  5. その作業は、いまの保守契約の範囲に入るか

回答は「どのサーバーで・何が・どの版で動き・誰が・いつまでに移すか」の表にして、社内に残してください。経営者に判断を仰ぐときも、年明けに脆弱性が報じられたときも、この表から説明できます。

業務パッケージはベンダーの動作環境、自社開発のシステムは作った会社に聞く

新しい OS や新しい SQL Server で動くかどうかを決めるのは、OS ではなく、その上のアプリです。Microsoft が 2025 へ上げられると言っていても、アプリが 2025 に対応しているとは限りません。

販売管理や会計などの業務パッケージは、パッケージのベンダーが公開している動作環境で、対応する OS と SQL Server の版を見ます。古い版のパッケージは新しい OS に対応しておらず、パッケージ自体の更新が先に要ることもあります。

自社開発の業務システムや Web サイトは、作った会社に、新しい OS・新しい SQL Server・.NET Framework 4.8 で動くかを聞きます。作った会社がもういない、連絡が取れない場合は、動作を判断できる人がいない状態です。後半の章の進め方で、引き継ぎ先を探すところから始めます。

移行の費用は何で変わるか

この記事では、移行費用の金額の相場を示しません。根拠にできる統計が見当たらず、同じ「サーバーの移行」でも、台数や載っているアプリによって作業量が大きく違うためです。代わりに、見積もりを読むための見方を示します。

費用が変わる 6 つの要因

要因作業が増える状態
台数とコア数対象のサーバーが多い。ESU やライセンスはコア数で数える
データベースの版上げOS だけでなく、SQL Server 2016 も同時に上げる
アプリの改修アプリが新しい版に対応しておらず、コードの修正や置き換えが要る
検証環境本番と同じ構成の検証環境がなく、作るところから始まる
停止できる時間業務を止められる時間が短く、夜間や休日の切り替えや並行稼働が要る
機器の買い替え機器の保守が切れていて、サーバー機の調達と設置も同時に要る

期間も同じ要因で変わります。見積もりを受け取ったら、この 6 つをどう見込んでいるかを保守会社に聞くと、1 月 12 日に間に合う計画かを判断しやすくなります。ESU は移行の代わりではなく、移行の時期をずらすための費用として、移行の見積もりと並べて比べてください。

保守会社が提案してこない・対応しない・連絡が取れないとき

5 つの質問を送っても答えが返ってこない、「古いので対応できない」と言われた、見積もりに納得できない。こうした場合も、最初から乗り換えを決める必要はありません。順に手を打てます。

提案が無いのは、契約の範囲外だからかもしれない

保守会社から移行の提案が来ないのは、期限を見落としているからとは限りません。システム保守費用の相場と根拠 では、OS・ミドルウェアのマイナー更新は保守に含まれることが多く、メジャーバージョンアップは別料金になることが多いと整理しています。OS の入れ替えは契約の範囲外で、頼まれるまで動かない取り決めになっていることもあります。契約書の保守の範囲に「OS のバージョンアップ」「サーバーの更新」がどう書かれているかを確認し、書かれていなければ、範囲内か範囲外かを文書で回答してもらいます。

断られた場合は、理由を聞きます。アプリが古く、新しい OS に載せ替えるには作り直しに近い作業が要るのか。保守会社にその技術の担当者がいないのか。年内に手が空かないだけなのか。理由によって、次の手が変わります。時期だけの問題なら、ESU でつなぐか、アクセスできる範囲を絞る暫定策を一緒に決め、着手の時期を約束してもらう選択肢もあります。

連絡が取れない・終了を告げられたら、先に資産を確保する

保守会社と連絡が取れない、保守の終了を告げられた。そうした場合は、移行より先に次のものを手元に確保します。

  • サーバーの管理者アカウントと、リモートで入るための接続情報
  • ソースコードと、データベースのバックアップ
  • ドメインと DNS の管理権限
  • Windows Server と SQL Server のライセンスの証書 (ESU の購入条件の確認にも要ります)

これらがないと、ほかの会社はサーバーの構成を調べることもできません。確保すべきものと、契約書で確認する条項は システム引き継ぎの進め方 で整理しています。

保守だけを他社に移す

アプリが業務に合っていて、新しい OS に載せ替えれば使い続けられるなら、作り直さずに保守だけを他社へ移せます。引き継ぎ先には、見積もりの前に現状調査を頼み、サーバーに何が載っているか、移行にどれだけの作業が要るかを調べてもらいます。旧保守会社と並行期間を置いて切り替える進め方は、システム保守の引き継ぎ にまとめています。

いまの保守会社との契約が残っているうちに次の担い手を探したい場合は、開発会社の乗り換え・システム引き継ぎ で、30 分の無料診断からご相談いただけます。

2027 年 1 月 12 日に間に合わないときの優先順位

サーバーが複数ある、年内に作業の枠が取れないなどの理由で、すべてを間に合わせられないこともあります。その場合は、次の順で手を打ちます。

  1. ESU の購入条件 (Software Assurance の有無) を先に確認します
  2. インターネットに公開しているサーバーから手を付けます。IIS で公開している Web サイトや、外からリモートデスクトップで入れるサーバーを先にします
  3. 社内向けのサーバーは、アクセスできる範囲を絞ります。VPN や IP アドレスの制限で、インターネットから直接届かないようにします
  4. 移す日付を決めて、社内に記録を残します。暫定策は、いつまで使うかを決めてから入れます

アクセス制限やセキュリティ製品は、移行までの時間を稼ぐ手段です。ESU の FAQ は「Third party application control solutions are not a replacement for product security fixes」と書き、他社のアプリケーション制御の製品はセキュリティ更新の代わりにならないとしています。暫定策を入れるときは、移行の日付も同時に決めてください。

アプリが何世代も前の技術のままで、新しい OS に載せる作業が作り直しに近くなることもあります。その場合は、移行と作り直しの両方の見積もりを並べて比べます。進め方は システム刷新・リプレイス で紹介しています。

FIXIT の進め方 — サーバーの移行は、載っているアプリの現状調査から決める

Windows Server 2016 の期限についてご相談いただいた場合も、OS の入れ替えより先に、サーバーに載っているアプリとデータベースの版を調べ、新しい環境に載せるのにどれだけの作業が要るかを見極めます。調査では AI にコードを読ませて全体像を書き出し、保守を引き継いで移す場合と作り直す場合を並べてお伝えします。現状調査だけを切り出してご依頼いただくこともできます。

まとめ

ESU は Software Assurance が条件で、Azure に移しても無料にはなりません。最初にやることは、保守会社に 5 つの質問を送り、どのサーバーで何が動き、誰がいつまでに移すのかを表にすることです。回答が来ない、対応を断られた場合は、資産の確保と現状調査から始めてください。Windows Server 2016 の移行を誰に頼むかで迷っている場合は、お問い合わせ から現状をお聞かせください。